11月20日(月)
5月に、韓国から突然訪れて対応に苦慮したY先生。
それからしばらくして、うちの職場にある「大きな引き出し」を見せてほしい、という連絡が来た。
実は5月にいらしたときに、「9月頃に、こちらにある大きな引き出しを見てみたい」という話をしていたのだが、9月になってもいっこうに話が来ないので、あの話はなくなったのだな、と安堵していたら、10月半ばになってメールが来て、11月後半に「大きな引き出し」を見てみたいと、正式な申請書が送られてきた。具体的な候補日も書かれていて、「このうちのどれかの日に見たいです」という。
さあ、この連絡を受けて、担当事務は上へ下への大騒ぎ!なぜなら、大きな引き出しは倉庫から出し入れするのに、ひどくめんどうなのだ。並大抵の面倒くささではない。なにしろ引き出しの大きさは2メートル四方もあり、ひとりで運べる大きさではない。当然、雑な扱いはできないから、ひとつひとつ台車に乗せて運ぶ必要がある。
しかも引き出しの数は12枚ある。引き出しは一つずつしか運べないから、倉庫と見学部屋との間を12往復して運ばなければら七位のである。
しかし、その大変さについて知っているのは、職場内のごく一部の人間である。当然、韓国のお客さんは、そんな大変な作業が必要だなんて知るよしもない。だから、「スナック感覚」で申し込んできたのだ。
申し込まれた以上は断るわけにはいかない。しかも韓国のお客さんなので、断ると外交問題に発展する。さあ、ここから大がかりな「引き出しプロジェクト」が始まる。
まず、当日のタイムテーブルを作る。先方の希望は12枚全部の引き出しをみたいと言うことだったが、最後の3枚はあまり見ても意味がないだろうと判断し、先方に「最後の3枚は見なくてもいいですよね」と私が交渉し、先方の了解を得た。これだけでも、ずいぶんと省力化が図れることになる。
事前に入念なシミュレーションをおこなうと、少なくとも引き出しを運ぶのに10名くらいの人が必要だということが判明し、職場から人をかき集める。
韓国からのお客さんは全部で3人。この3人は当日の朝から引き出しを見る気満々なので、当然、前泊をしなければならない。その前泊の手配も僕のほうでおこなった。で、僕も、何かあっちゃいけないと思い、職場の近くに前泊することにした。それが前日の日曜日。
さて月曜日の今日。
朝からお客さんがやってきて、とりあえず荷物置き場や昼食会場として確保した会議室にお通しする。実はお客さんは韓国から来た人だけでなく、日本在住の方も「大きな引き出し」を見に5人来ることになっていたので、合計8名のお客さんである。
僕は8名のお客さんが到着したことを確認し、「準備ができたらお呼びしますのでこの部屋で待っていてください」と言ってすぐに走って倉庫に向かう。
倉庫では、「大きな引き出し移動作戦」がおこなわれようとしていた。ありがたいことに総勢10名ほどのスタッフが力を貸してくれるという。僕はいちおう現場監督の役割のような者なので、僕がいないと作業が進められないことになっていた。
お客さんのアテンドもして、同時に倉庫から「大きな引き出し」を出す現場監督もするのは、なかなかしんどい。
予定より少し遅れて、9枚出す引き出しのうちの4枚を出して、見学場所に並べた。ちなみに見学場所は、大きな引き出しを4枚並べることで限界の広さである。まずは4枚を見てもらって、午後に残りの5枚を見てもらうことにしたのだった。
そのうちに昼食休憩の時間になった。お客さんには、荷物置き場兼昼食会場である会議室に戻ってもらい、彼らが昼食を食べている間、今度は午後の部の準備である。
午前に並べた4枚の引き出しを1枚ずつ倉庫に戻し、こんどは5枚の引き出しにすべて交換しなければならない。でも見学場所には一度に5枚は並べられないから、最後の1枚は台車の上で待機させ、頃合いを見て、4枚のうちの1枚と交換する。これもまた重労働である。
しかしなんとか予定の時間までに、韓国のお客さんには9枚すべての引き出しを、心ゆくまで見てもらった。最後の3枚をオミットしておいてよかった。ちょうどいい時間に終了した。
この間、僕はお昼休みの30分だけで、あとはずっと「大きな引き出し」とつきっきりだった。
韓国からのお客さんは、いずれも満足そうな顔をして、「おかげで引き出しをよく見ることができました」と言った。そりゃあそうだ、そのためにこっちはまる一日時間を潰して、献身的に準備したんだから。
「韓国に来たら必ず連絡してください。ごちそうしますから」
とお決まりのセリフを言って別れたが、お気持ちだけ受け取っておきます、という思いで、「また会いましょう」といって別れた。
…ナンダカヨクワカラナイ文章でしょう。こっちは半分眠りながら書いているのだから。
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