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歓待

12月19日(金)

午前中から、ソウルの某大学博物館で、調査を行う。夕方終了。ホテルに戻る。

すると、韓国のある学会のメンバーが、どこで情報を聞きつけたのか、われわれメンバーのために一席設けてくれると連絡が入る。

以前にも書いたように、韓国は人間関係が濃密である。日本から研究者ご一行が来たという情報を聞きつければ、めいっぱい歓待をしてくれる。

ホテルから会場まで、一人の方がビッタリとついてこられる。地下鉄の切符も、人数分買って、われわれに配ってくれる。

こちらとしては、そこまでしなくてもいいのに…、切符ぐらい自分で買えるのに…、と思っても、彼らはそれを許さない。

時にこれが、負担になることもある。

韓国へ旅行者として訪れたときはさほど感じなかったことが、こちらで暮らすようになって、ある程度自分でできるようになると、それが煩わしく感じることも多くなる。

こちらの身勝手なのかも知れないが。

宴会は2次会、3次会と続く。

3次会の席で、ある先生が韓国語で次のようなことを私にお話になる。

「外国語が上達するための方法は、2つあります。一つは、恋人を作ること、もう一つは、お酒を飲みながら友人と話すことです。先生の場合、奥さんがいるので、第一の方法は無理です。とすれば、必然的に、第二の方法で外国語を上達させるしかありません」

そうおっしゃる先生は、ご自身が中国語、英語に堪能な超優秀な学者である。ここ数カ月は日本語も勉強されているようで、私の韓国語よりはるかに上手な日本語を使っておられるのを聞いて、「俺は韓国で何をやっているのだろう」とまた落ち込んでしまった。

優秀な研究者の方だけに、お話も理路整然としている。あるいは「一緒に酒を飲みましょう」という口実としておっしゃっているのかも知れないが、韓国語の上達のためには酒を一緒に飲むのがよい、という指摘は、一面で真実かもしれない。

夜12時に解放される。その後ホテルに戻り、午前2時まで宿題。

次の日もご一行のお供をして、授業を欠席する予定だったが、授業に出ない後ろめたさにさいなまれ、明日の朝にソウルを出発することにした。

(つづく)

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