リ・ヤン君の1年
大学院生のウさんとソさんのおかげで、午前中の間に引っ越しがほぼ完了する。
新しい部屋は、大学のすぐ近く。しかも、いままでいた寄宿舎の時と、生活圏はほぼ変わらない。
引っ越しの諸手続が終わり、なんとか午後の授業に間に合う。
午後の授業では、ここのところしばらく休んでいたリ・ヤン君が出席していた。
しかし、いまの時点で彼は10回欠席している。1学期の授業50日のうち、10日以上休むと落第である。「猟奇的な先生」は、事務室に行きなさいと指示し、リ・ヤン君は教室を出た。
授業は、一昨日の影響もあってか、緊張した様子で始まるが、次第にいつものペースに戻っていく。
やがて、リ・ヤン君が教室に戻ってきた。
リ・ヤン君が出席すると、いつも私の隣の席に座る。そして、私が答えにつまったり、わからないことがあったりすると、親切に教えてくれる。ただし、その説明は、あまりよくわからないことが多い。
風貌は、オタク風の青年、といったところか。
とにかく韓国語をよく知っているのである。だから、私の知らない単語もいろいろと教えてくれる。欠席ばかりしているのに、なぜこんなにいろいろと知っているのだろう。
会話の授業で、私がなかなかスラスラ言えないのを見て、彼は言った。
「韓国語が上達するためには、韓国の友人を作って、話す機会をたくさん作ることです。私もそうしています」
「へえ、韓国語をよく知っているね」と私が言うと、
「もう韓国に1年いますから」
という。私は不思議に思って、
「じゃあ、なぜいまだに初級クラスなの?」
と聞くと、
「私は休んでばかりで、あまりいい学生ではないのです。初級クラスは、これで5回目です」
ええ!初級の授業を5回も受けているのか。そらあ、いろいろと知っているはずだわな。
1年は4学期あるから、5回ということは、まるまる1年間、初級の授業を4回受けて、さらにもう1回受けている、ということだ。なんという時間の無駄!
リ・ヤン君は、この学期が終わったら中国に帰されてしまうだろう。
自分はそうならないようにしよう、と誓う。
授業が終わり、引っ越した先の部屋に帰る。テレビや机や本棚やベッドなどがそろっていた寄宿舎の時と違い、部屋には何にもない。
独居房のようだ。
とりあえずインターネットがつながって安心するものの、これからしばらくは、不便な生活が続く。
明日からは妻が来る。徐々に生活用品をそろえていくことにしよう。
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コメント
ブログ楽しみに読ませていただいています。このブログが本になったら…腰巻は「抱腹絶倒!」「韓国留学日記」とかつくのかな?なんて待ち遠しい気持ちです。
お伺いしてから自分の稚拙な文章を恥ずかしく思い「文章の品格」を読みましたが、何の効果も得られない私です。
奥様がいらっしゃれば「鬼に金棒」?ですね。
韓国のお正月ルポ楽しみにしています。
良いお年をお迎えください。
投稿: yuppy | 2008年12月23日 (火) 16時02分