タプサ(踏査)
27日(土)のタプサ(踏査)は、慶尚南道の山清(サンチョン)というところに出かけた。
タプサ(踏査)とは、日帰りの史跡旅行のことである。この大学の史学科では、指導教官と大学院生が中心となって、定期的に行っているという。
朝9時に集合し、車に分乗して出発する。OBの人などを含め、全部で15人くらいが参加した。
まわったのは、生草古墳群、傳仇衡王陵、大源寺、内院寺、断俗寺址、道村里磨崖仏といった場所。
いずれも、マニアックな史跡である。
そもそも、山清が、大邱から車で2時間ほどかかる田舎町。開発がまだ進んでいないところである。
私が関心をもったのは、遺跡もさることながら、史跡旅行がどのような形で行われているのか、ということだった。
まず最初に、集合場所で、資料集が配られる。いわゆる旅のしおりである。大変よくできたものだが、これは大学院生のみなさんが協力して、毎回作成しているという。
車に分乗すると、車の中には、大量のお菓子やミカンが用意されていた。至れり尽くせりである。
史跡に到着し、いよいよ見学が始まるが、最初の古墳群は高台にあり、かなり急な坂をフーフーいいながら登った。他の方は何ともないのに、私だけ大汗をかく。本当に、運動不足を痛感する。
おもむろに、指導教授の先生が、解説をはじめられる。みんながそれに聞き入る。
早い話が、日本でやっている史跡見学旅行と同じである。史跡に対する大学院生のみなさんの食い付き方、というのか、反応の仕方、というのも、日本の大学院生と同じである。
見学場所は、必ずしも建物が立派な場所というわけではなく、古びた石塔が残っているだけのところや、岩にうっすらと仏画が彫られているといった、地味な場所が多いのだが、大学院生のみなさんは、それらを食い入るように見つめ、写真をバシャバシャ撮っている。
「やはり史学科の学生さんなんだなあ」と、ヘンに感心してしまう。
日本の学生と少し違うのは、男女仲がかなりいいということである。大学院生の男女の比率はだいたい半々だが、とにかく元気である。大学院生が計画を立てているということもあり、タプサへの参加姿勢はとても積極的だ。
指導教授の先生は、学生に対して余計なことを言わない。必要なときだけ、史跡の解説をする。
なんか、うらやましい関係だなあ、と思う。
この関係は、そのあとの食事(宴会)のときも同じである。指導教授は、もっぱらOBとか、上の方の人と話をするが、学生と必要以上にコミュニケーションをとろうとはしない。
学生は、学生たちで盛り上がっている。そして指導教授は、それに対して余計なことは言わない。
ただ、学生が爆弾酒を作って、「先生、一緒にお手合わせ願います!」といえば、黙ってそれにつきあう。
いい関係だ。私が思い描いていた理想的な関係のようにも感じる。
一つ、忠告しよう。
教員と学生との宴会の席で、教員が必要以上に学生とコミュニケーションをとろうとしたら、その教員には要注意だ。
そんなこと、言われなくても、経験からわかっているかな?
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