学ばない人たち
リ・ミン君は、授業中に寝てばかりいる。
授業中に起きているのをみたことがない。彼の顔のデフォルト(初期設定)が、寝顔ではないかと思ってしまうほどである。
授業で問題を当てられると、まるで寝言を言っているかのように答える。
「昨日のクリスマスは何をしていましたか?」という質問にも、「家で1日中寝ていました」と答える。
とにかく、寝てばかりいるのである。
最初は、それが彼のキャラクターとして面白がられていたが、さすがに「猟奇的な先生」も今日はキレた。
「教室で寝るのなら、家に帰って寝なさい!」と。
私も同じ気持ちである。彼の授業に対する態度に、だんだん腹が立ってきた。1日たりとも、授業をまじめに受けようとは思っていないように見受けられるのである。
もう1人、今日怒られたのは、問題児のリ・ヤン君である。
今日も30分遅れて授業にやってきた。おそらく寝過ごしたのだろう。席に着いた早々、眠りはじめてしまった。
これには「猟奇的な先生」も激怒した。
当然である。10日も休んだうえに、一昨日、今日と連続して遅刻したのである。どんな温厚な先生でも怒るのは当然である。
「君たちはまだ大学にも入学していないのよ。仮に大学に入学できたとしても、大学での勉強は今以上に大変なのよ。君たちの目標は何?大学にただ入学することではなくて、卒業して、仕事をすることでしょう?大学を卒業することは、入学するよりももっと難しいことなの!いまこの段階でいい加減なことをしていたら、この先もっと大変なことになるのがわからないの?もう君たちには時間がないのよ」
およそこんなことをおっしゃったと思う。正論である。
とにかく連中は、学ぼうとしないのである。隙あらばサボろうとする。相変わらずマ・クン君は落ち着きなく体を動かしているし、リュ・ピン君はヨジャ・チングのことを考えてぼーっとしたり、隣のパオ・ハイチェン君にちょっかいを出したりしている。チャオ・ルーさんは、宿題を家でやりたくないものだから、授業中に宿題を内職している。男前のリ・チン君はもう1週間近くも授業を欠席している。ベテランの先生による会話の授業では、全員が中国語で好き勝手に私語している。
彼らのこうした行動は、この学期が始まった頃からずーっと変わっていない。
だから韓国語が上達しないのである。
とくに隣のリ・ヤン君には、もうかまっていられない。下手にかまってしまうと、こちらまで手痛い目にあってしまう。
リ・ヤン君は、その身なりからして、近寄りがたいものがある。およそ1年は洗っていないと思われる服とズボンを、毎日着てきている。
いや、おそらく、寝ているときも同じ服なのだろう。いわゆる「寝間着 起き間着 よそ行き間着」である。
そんな彼が、「クリスマスには何をしましたか?」というベテランの先生の質問に、「友達と市内へ出て、服を買いに行きました」と答えた。
これには先生も首をかしげる。「じゃあなぜ今日は新しい服を着てこなかったの?」
先生のこの突っ込みに、リ・ヤン君も答えに窮していた。
授業中はというと、左隣のジョウ・レイ君とずっと中国語で話し込んでいる。まったく授業に参加しようとする意識がない。
ジョウ・レイ君との話がひとしきり終わると、今度は私に韓国語で話しかける。
「アンニョンハセヨは日本語で何というのですか?」
「カムサハムニダは日本語で何というのですか?」
こちらは授業に集中したいのに、なぜこのタイミングでそんなことを聞きたいのか?意味がわからない。だいたい日本語なんか勉強している場合じゃないだろ!韓国語を勉強しろよ!
怒りがこみ上げてきたので、「こんにちは」「ありがとう」とぶっきらぼうに答えただけで、あとは無視を決め込むことにした。
「留年組は、そこそこ韓国語ができる人が多いけど、問題児も多いのよ」と、最初の面接のときに、「猟奇的な先生」がおっしゃっていたことを思い出した。
では、そんな中で、私はどうなのか。
今日、ベテランの先生に「韓国の市場」というタイトルで書いた作文をほめられた。
「日本人が書いた文章ではなくて、韓国人が書いた文章みたいね。韓国人の小学校3,4年生並みね」
正確にはほめられているのかどうかよくわからない。ただ間違いなく言えることは、私の現在の韓国語能力は、小学校3,4年生並みだということである。
スカイプで偉そうに卒論指導なんかしているが、私の韓国語は小学生レベルなのである。
でも、考えてもみたまえ。いいように考えれば、わずか1カ月足らずで、生後10年分の言語成長をとげたとも解釈できるのだ。
次は中学生レベル、高校生レベルの韓国語を目指すぞ。
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