中間考査
中間考査は、次のような時間割で行われた。
9:00~10:00 문법 (文法)
10:10~11:00 읽이 (読解)
11:10~12:20 쓰기 (作文)
12:30~13:10 듣기 (リスニング)
14:00~ 말하기 (対話)
朝から1日、ずっと試験なのである。こんな経験は久しぶりだ。
他のクラスの人も一緒に大教室で試験を受けるのだが、不思議だったのは、1つの教室に、たとえば1級の学生だけがいるのではなくて、2級とか3級とか、他の級の人々もいることである。1級1班の人が縦1列に座り、その隣に3級1班の人が縦1列に座る、という具合である。当然、1列ごとに、異なった問題用紙を配布することになる。そして、1級の別の班の人は、違う教室で受験する。
一つの教室で、同じ級の人だけを集めた方が、問題用紙や解答用紙を複数種類配布する、という面倒な作業をしなくてもすむはずなのに、なぜ、こんな面倒なことをするのだろう。
おそらく、カンニングを防止するためではないだろうか。前にも書いたように、数多くいる中国人留学生は、ともに教え合う、という習慣が身についているようである。つまり、カンニングに対するハードルが低いのである。それを防止するための策なのだろう。
もう一つ、日本と違うのは、問題用紙に誤字や落丁、乱丁が目立つことである。だから配られたら、落丁や乱丁がないか、よく確かめなければならない。
文法の時間、問題用紙の問い掛け文に、明らかな誤りがあったので、手をあげて質問したのだが、「その通りよ」と言われ、試験監督はとくに訂正しようとはされなかった。
日本だったら、問題用紙に誤りがあれば、まず板書して、全員に周知するだろうに。
リスニングの試験の問題用紙には乱丁があった。そのことに気がついたのが、試験が始まってだいぶたってからのことだった。ノンストップのテープを必死で聞きながら、用紙に解答を書いていくと、途中で解答番号が飛んでいることに気づいた。よく見ると、2頁の次に4頁がきている。
つまり、1頁→2頁→4頁→3頁の順で綴じられていたのである。
そのことでこちらがパニックになっていると、他の人たちも動揺しだした。どうも全員の問題用紙がそうなっていたらしい。それに気がついた試験監督の先生は、あわてて「3頁を開きなさい!」と叫ぶ。そんなこと、試験の最初に言っておけよ。というか、問題用紙を綴じる段階で誰も気づかなかったのかよ!
どうも教員の虫が疼いてしまって、アラさがしばかりして試験に集中できない。
試験に集中できないのには、もう一つ理由がある。リスニングの時間にあの「猟奇的な先生」が試験監督をなさった。先生は、設問のテープが流れている間も、「リュ・ピン!キョロキョロしない!」とか、「マ・クン!問題用紙をちゃんと見なさい!」とか、怒鳴りまくるのである。これではうるさいし不愉快で、リスニングに集中できないのだ。
さらに極めつけは、試験時間が終了し、筆記用具を置いたときだ。
「両手を頭の上にのせなさい!」
と「猟奇的な先生」は叫んだ。「試験が終了したので、筆記用具を持たずに机の上に置きなさい」という意味で、おっしゃったのだと思うが、私には、FBIの捜査官が犯人を追い詰めたときに叫ぶセリフのようにしか聞こえない。
(またもや犯人扱いかよ…)
と、これまた不愉快な気分になる。
午前中の試験が終了。昼食とコーヒーでなんとか気分をリセットした。
午後は、学生1人1人が先生と面接して、10分程度の対話の試験をする。午後2時から始まるが、私の順番は一番最後なので、3時50分に演習室に入室することになっていた。面接の先生は、「猟奇的な先生」ではなく、別の先生なので安心だ。
前日、先生から「対話の試験は3階の演習室を使って行いますから、順番を待つ人は、3階ではなく2階で待機していなさい」と聞いていた。
私はそのことを守って、2階でおとなしく待っていた。
しかし、中国人留学生たちの多くは、3階の演習室前の廊下のところでたむろしている。
(昨日あれだけ言われたのに、こんなことをしていたら絶対怒られるぞ)
と思いつつ静かにしていると、案の定、3階から、「猟奇的な先生」の大きな怒鳴り声が聞こえてきた。
「早く階段を下りなさい!ここは何階だと思っているの!早く降りなさい!あなたたち、ここが何階だかわからないの!」
この怒鳴り声が何度か繰り返されたのち、ついには、
「2階ではなくて、全員1階に降りなさい!」
と至上命令が下る。私もとばっちりを受けて、1階へ降りた。
1階に集められた数十人の中国人留学生たち(と私)を見下ろすように、「猟奇的な先生」は階段の数段上のところからお説教をはじめた。
「あんたたち、昨日の授業で、先生が言っていたことを聞いていなかったの?3階で待ってろって誰が言った?オゥ?3階であんたたちが騒いでいると、試験をしている先生は、チング(友達)の答えていることを聞き取れる?聞き取れない?オゥ?どっちよ!」
「アントゥロヨ(聞き取れないと思います)」と、留学生たちが口を揃えて言った。
「あんたたちのせいで、あんたたちの友達が試験を落としたらどうなると思ってるの?オゥ?いいですか。試験が終わった人はすぐに家に帰りなさい。これから試験の人は、時間になったら3階にあがりなさい!しかも友達とではなく、1人でよ!わかった?」
ここまで、凄い剣幕である。他にも何人も先生がいらっしゃったのだが、他の先生の出番がまったくないほど、まくしたてている。
まるで「ごくせん」の主人公のようである(といっても、「ごくせん」の原作もドラマもほとんど見たことがないので、例えが間違っているかも知れない)。
「私は、こいつらと戦わなければならない」という思いに満ちあふれたお説教である。
例によって私は、
(また巻き込まれたのかよ。勘弁してくれよ…)
と思いつつ、私の中である確信が生まれてきた。
それは、「『猟奇的な先生』こそが、この語学堂を支配しているのだ」という確信である。
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