マジでキレ出す5秒前
12月に語学の授業を受け始めてから、心に決めていたことがあった。
それは、「授業時間である、午後1時から5時までの4時間は、学生の立場を貫こう」ということである。
当たり前といえば当たり前のことであるが、年齢が倍も離れた他の留学生たちと同じ立場に立ち、どんなことでも受け入れよう、と誓ったのである。
だから、先生に言われた課題も忠実にやるし、別にこの年齢になって参加する必要もないような野外学習にも参加した。バカバカしいと思う遊園地にも行ったのも、そうした誓いがあったからである。
実は、野外学習があった金曜日、ソウルで学会があって、それに誘われていた。くだらない野外授業なんか休んで、1日早くソウルに入って、その学会に出ることも可能だった。でも、「すいません。語学の授業があるので行けません」といって断ってしまった。遊園地に行くので、とは、口が裂けても言えないのだが。
それもこれも、自分にとっていまいちばん大事なのは、語学の勉強であり、語学の授業を最優先にしたいという思いがあったからである。
しかし、その誓いも、揺らぎつつある。
相変わらず、後半のベテランの先生での授業での、学級崩壊がいちじるしい。
3月からの大学入学が決まったリ・チン君、チャオ・ルーさん、リ・ヤン君は、手のひらを返したように、授業に出てこない。彼らからすれば、入学予定の大学から、ビザの延長が保証されたため、もうこちらの語学学校に用はない、ということなのだろう。
それ以外の人たちは、相変わらず、勉強する気もなく、とにかく授業時間の4時間を、どう乗り切るか、ということだけを考えている。先生の話なんか聞かず、延々と中国語で喋っている。
いちばん問題なのは、精神年齢がいちばん幼いリュ・ピン君である。4時間目の授業が終わりに近づくと、足で床をバタバタと踏みならして、「早く終われ」という態度をとる。
そして、今日の4時間目も中盤にさしかかったころのことである。リュ・ピン君は教室の入口の方を見て、そわそわしはじめた。
「ソンセンニム!」
例によって、先生にお願いするときの大きな声である。
「僕のヨジャチング(ガールフレンド)が、教室の外に来ています。一緒に勉強してもいいですか?」
この前と同じパターンである。
ベテランの先生がちょっと考えあぐねていると、
「ソンセンニム!ヨジャチングは、ソンセンニムのことが大好きなんです!」
お前はどうしてそういうときだけ韓国語が流暢なんだ?
前回と同じく、先生も仕方なく許可を出す。「静かにしていないとダメよ」
ヨジャチングは、待ってましたとばかりに、教室に入ってきた。
「アンニョンハセヨ」
だから言わんこっちゃない。前に一度認めてしまったものだから、これからも許されるだろうと思って、外で待っていたのである。もうこうなったら、今後も際限なく、こんなことが続くことになるであろう。ちょいとした、「ユスリ・タカリ」である。
しかも驚いたことに、パンと飲み物を持って入ってきた。
そして、リュ・ピン君の隣に座り、ふたりはパンを食べ、飲み物を飲み始めた。
喫茶店か?!ここは!
ふつふつと沸き起こる怒りをおさえるために、目を閉じて、「我慢我慢」と自分に言い聞かせる。
しかし、いつか、「学生としての自分」と「教育者としての自分」のバランスが、崩れる時が来るかも知れない。
その時は、カンニング竹山の「キレ芸」のごとく、怒り狂うかもしれない。
今はただ、「こんな劣悪な学習環境の中で耐えられれば、これからはどんな環境の中でも勉強はできる!」と、自分に言い聞かせるしかない。
ん?これって、自分にとっての「デルス・ウザーラ」ってことか?
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