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本日モ反省ノ色ナシ

ジャッキー・チェンにそっくりのトゥン・チネイ君が久しぶりに授業に現れる。

授業中、「猟奇的な先生」が、さかんにトゥン・チネイ君をからかおうとするが、トゥン・チネイ君は、表情ひとつ変えず、それに乗ろうとはしない。

どうも、トゥン・チネイ君は、「猟奇的な先生」が苦手なようである。

今週の「猟奇的な先生」は、いたって穏やかである。旅行前には、いろいろ考えすぎて荷物がいっぱいになってしまう、という話や、引っ越しの見積もりの時に、大量にある本を冷蔵庫や洋服ダンスに隠して、引っ越し代を安くあげた話など、ここ数日の「猟奇的な先生」のフリートークは、むしろ冴えているといってよい。

私自身は、同世代かつ同業者の「あるあるネタ」としてとても面白く聞いているのだが、しかし、学生たちにはいまひとつ受けが悪い。

これとは対照的に、後半のベテランの先生の時には、学生が積極的に先生に話しかける。

いま、彼らの間で一番気になっているのは、「自分が果たして2級に上がれるのか?」ということである。彼らの頭の中には、いまそれしかないのである。

さっそく、授業の始まる前にマ・クン君がベテランの先生に質問する。「先生、僕は2級に上がれるでしょうか?」

何回同じ質問しているんだよ、と言いたくなる。

マ・クン君だけではない。ほかの学生たちからも、次々に「僕は2級に行けるでしょうか」と質問攻めにあう。

さすがにベテランの先生も、これでは埒があかないと思ったのだろう。休憩後の4時間目、これまでの成績表を持って教室にやってきた。

2級に上がれるかどうかの基準は、以下の通りである。

まず、出席が80%以上であることが条件。その上で、中間考査の成績が20%、期末考査の成績が20%、4回行われるクイズ(小テスト)の成績が20%、毎日の宿題が20%、毎日のパダスギ(書き取り試験)が20%、という割合で総合的に評価される。

だから、私情が入る余地はないのだ。いくら先生にお願いしたって、無理なものは無理、というシステムになっている。

昨日のリュ・ピン君のように、何かアピールすれば上級クラスに上がれる、というものではないのだ。

しかし彼らは、なかば冗談で「もし2級に上がれたら、先生に贈り物をします」などと、贈収賄の罪に問われるようなことを言って懇願するのである。

さて、4時間目の授業の最初、ベテランの先生が成績表を持ってくると、学生たちはたちまち先生のまわりに群がるように集まり、自分のこれまでの成績を確かめはじめた。

しかし、確かめたところで、何になる、というのだろう。仮に、いままでの成績が、思ったより良かったとして、「じゃあ期末考査は手を抜いていいや」ということになるのだろうか。

いままでの成績がどうであろうと、残された試験に全力を尽くすことには、変わりないのではないか。

私には、彼らの行動がまったく理解できない。

しばらくの間、彼らは自分の成績を確かめ、それを書き写し、点数の計算をすることに没頭している。

おかげで、授業時間がどんどん削られている。本末転倒な話ではないか。

それでいて、彼らは、まじめに授業を受けるか、というと、そういうわけではない。相変わらず、中国語の私語は延々と続いているし、対話の練習では、頓珍漢な受け答えばかりしている。

いちばん自覚がないのは、リュ・ピン君だ。最悪なのは、授業中に携帯電話で誰かとヒソヒソと話している。7人しかいない授業で、よくそんなことができるものだ。

ベテランの先生は、叱りはするが、とりあげようとまではしない。もしこれが「猟奇的な先生」だったら、携帯電話をとりあげるだけでは済まず、登録されている電話番号を全部消去してしまうところであろう。あるいは窓の外へ放り投げるかも知れない。

ときに、それくらいことをしないと、彼らにはわからないのだろう。

その点において、私は「猟奇的な先生」を支持する。ベテランの先生の優しさが、結果的に彼らをダメにしている一要因である、と、残念ながら認めざるを得ないのである。

しかし、「猟奇的な先生」には学生の人望がなく、ベテランの先生は、学生たちに絶大な信頼がある。

教育とは、本当に難しい。理想の教育者、て、どんな人なんだろう。

私にはわからなくなってきた。

彼らは、人一倍、2級に上がりたいと願っている。しかし、2級に上がるためのいちばんの近道は、授業を地道に受けることだ、ということに、まったく気づいていない。

相変わらず、この4時間の授業をいかにやり過ごすか、ということだけを考えている。

いよいよ、あと1週間で、この学期も終わる。

来週も、こんな感じで授業が続くのだろうか。

1級1班、本日モ反省ノ色ナシ。

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