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卒業旅行・番外編

またいつもの自画自賛癖だが、今回の2日間のソウルツアーは、海外旅行初心者の学生たちにとって、充実したものだったろうと思う。

2日のうち1日をソウル市内、1日をソウル郊外にしたのは、目先が変わってよかった。実は私も今回初めて水原(スウォン)に行ったのだが、電車と路線バスを乗り継いでたどり着くのは全くの初心者にとってはそれなりに冒険だし、景色のよい華城を歩くのも楽しい。

なにより、私自身が、韓国で学生を引率することに関して自信がついたことが大きい。今後は文化財調査実習を、韓国で行うことも十分可能だとわかったのである。

私と韓国とのつながりは、前の職場の同僚が企画したゼミ旅行について行ったことがきっかけで、一気に深まった。その同僚とは、3回ほど、学生を連れて韓国をまわった。そこで、さまざまな経験をした。この日記に登場した友人も、彼の影響を受けたひとりである。この話を書き出すととてつもなく長くなりそうなので、今は書かない。

自分もいつか、彼のように、学生を引率して韓国を旅したい、と思っていた。むろん、彼のような「ディープ」な計画は立てられないにしても、せめて少しでも、彼の精神を受け継ぐような形の旅がしたい、と。

彼のような奔放な計画は立てられず、結局はオーソドックスな旅に落ち着くのだが、でも単なる名所旧跡めぐりではなく、何かを感じ取ってもらうような旅にしたいと思う。彼も、学生たちにそれを望んでいたのではないだろうか。

1日目の夜、東大門市場の近くで入った大衆居酒屋。そこにはありのままの姿があった。学生はそれを見て、「韓国の酔っぱらいも日本の酔っぱらいも同じですね」とつぶやいた。

そう、人間は同じなのだ。同じように笑い、同じように泣く。いいやつもいればイヤなやつもいる。それは日本だって韓国だって同じなのだ。

2日目の朝、水原(スウォン)に行く途中、クムチョンという駅で電車を待っていると、線路の電線の上にカササギの巣を見つけた。

めずらしいので写真を撮っていると、横に立っていたアジュモニ(おばさん)が、「あれはカササギの巣だね。もうすぐカササギが飛んでくるから、どうせならその時に写真を撮りなさい」と話しかけてきた。

すると、カササギが巣の材料である木の枝をくわえて飛んできた。

「今よ、はやくはやく!」

アジュモニの言葉にしたがって、写真を撮ろうとするが、なかなかうまくいかない。

「あ、裏にまわった!はやくはやく!」

アジュモニの言葉に操られるように、ホームの左右を駆けまわる私。

「それ、いまだ!」

2 だが肝心なときにメモリースティックの残量がなくなっていた。慌ててメモリースティックを交換するうちに、カササギは飛び立っていく。その姿を見て、アジュモニはあきれた様子だった。

一部始終を見ていた学生は何を思っただろう。もちろん私のぶざまな姿が情けないと思っただろうが、それ以上に、韓国のアジュモニが、お節介な日本のおばちゃんとダブって見えたことではないだろうか。

もちろんそんなことは些細なことに過ぎず、早晩、旅の思い出から忘れられてしまうだろう。だが、どうでもいいところにこそ、大事なものがあるような気がする。

うまく言葉で説明できないが、その同僚が学生たちに感じてもらいたかったのは、そういうことだったのではないか。

まったく見当外れだよ、と聞こえてきそうだが。

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コメント

 引率お疲れ様でした。華城を「逆打ち」されるとは、さぞ深い願いをお持ちなのかと。
 実は僕も旅の最中です。安土で天下布武の印を手に入れ、今晩いよいよ四国に渡りました。明日はレンタカーを借り、山田家から霊山寺へ「逆打ち」も果たすつもりです。深夜バスも乗ったし、もうこうなったらサイコロでも振りますか。では。

追伸:日が明けて今日は2/26か。おじさんの命日に四国プチ巡礼とは因果なものです。

投稿: こぶき | 2009年2月26日 (木) 01時52分

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