小さな成長
2月15日(日)から17日(火)にかけて、釜山をまわった。
先週の学会でお会いした釜山の某大学の先生に、大学博物館で所蔵している、ある資料を調査させて欲しい、とダメ元でお願いしたところ、快く許可をいただき、同じく学会に出席されていた大学博物館の学芸研究員の先生をご紹介していただいた。こちらのたどたどしい韓国語で、「来週の月曜日にうかがいたいのですが…」と申し上げると、どうも「午後なら大丈夫です。月曜の午後に電話下さい」とおっしゃったようである。
これまで、資料調査といえば、共同研究のメンバーで一緒におこなっていたため、アポはすべて、韓国語の達者な方がしてくれた。私はそれについて行きさえすればよかったのだ。
ところが今回、はじめて自分でアポを取り、調査をさせていただくことになった。
16日(月)の午前中、ポモサ(梵魚寺)という古刹を見学したあと、午後1時過ぎ、大学の最寄りの駅に到着。携帯電話で、「先週金曜日にお会いした者ですが、2時頃うかがいたいと思います」と申し上げると、「わかりました」とお返事いただく。先週金曜日の会話が通じていたようで、ホッとする。
午後2時、博物館の学芸研究室にうかがうと、目的の資料はすでに準備されていた。学芸研究員や学芸室長の先生も好意的で、おかげでじっくりと調査することができた。
韓国語でたどたどしい会話をしながらも、人に頼らずに調査できたのは、私にとっての小さな成長であった。
今回の釜山は充実したものだった。
韓国に来て、日本食が恋しいでしょう、とよく言われるが、いまのところ、思ったほど、恋しいとは思わない。韓国と日本とでは、食材がほとんど変わらないからである。
だが、刺身だけは、どうしても食べたい、と思う。もちろん韓国にもあるのだが、非常に高い。加えて、内陸の大邱にいると、刺身を食べる機会がほとんどないのである。
だから、釜山では刺身を食べたい、と決めていた。
釜山のチャガルチ市場は、韓国でも有数の魚市場である。
チャガルチ市場に限らず、韓国の市場はどこも雑然としていて、活気にあふれている。この雰囲気を好きになるかならないかで、韓国に対する印象がずいぶん違ってくると思う。
ときに、日本ではあまりお目にかからないような海産物もみられるのも一興。
手前にあるのは、皮をむかれたアナゴだろうか。動いている。奥にあるグロテスクなものは、ケブル(日本名ユムシ)である。
ひととおり市場を見て歩いたあと、新チャガルチ市場棟に行く。ここの1階で生きた魚を買って、2階の食堂でさばいてもらうのである。沖縄の国際通りにある市場と同じ方式。
ヒラメとイカとイイダコ、ナマコ、ケブル(ユムシ)を買う。ここからが勝負である。
アジョッシ(店のおじさん)の言い値を、いかにまかすか、である。
最初、アジョッシが5万ウォン、と言ってきた。高くて買えない、というと4万ウォンに下がる。それでも高い、と言うと、「じゃあいくらなら買うんだ」と言ってきた。「2万5000ウォン!」というと「話にならない!」とアジョッシ。「じゃあ3万ウォンでどうだ!」「しょうがない。3万5000ウォン」「もう少しまからない?」「冗談じゃない。こっちだって生活しなきゃならないんだ!」
結局3万5000ウォンで手を打つ。ここまでのやりとりができたのも一つの成長だろう。
2階の食堂で、買ったばかりの魚を刺身にしてもらい、舌鼓をうつ。イカやタコやケブルは、まだ動いている。ヒラメがとくに旨い。焼酎を飲むのを忘れてしまうほどだ。
釜山はまた、テジクッパ(豚肉入りクッパ)が有名でもある。釜山の繁華街であるソミョン(西面)には、「テジクッパ通り」があり、テジクッパの店が軒を連ねている。
その中で、テレビでも紹介され、お客さんがひっきりなしに入っていく店を選んで入る。たしかに旨い。これまでもテジクッパをいろいろ食べてきたが、豚肉のうまさが違うのである。
混んでいる店にはやはり理由があるのだ、ということをあらためて思い知らされる。
釜山は内陸の大邱にくらべて、旨いものが多い。そして開放的で明るい。海があることがこんなにも人々を開放的に、そして豊かにするものだろうか。
さまざまな発見をして、大邱に戻る。
ただ1つ残念だったのが、調査に同行した妻が、最終日の朝(今朝)にひどい食あたりを起こしてしまったことである。大邱に戻ったいまも七転八倒の苦しみである。大丈夫だろうか。
同じものを食べたのにどうしてだろう。今朝飲んだバナナ牛乳あたりが原因だろうか。私は飲まなかったから。
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