さよなら、1級1班!
今学期最後の授業。
といっても、相変わらず出席者は少ない。パオ・ハイチェン君、リュ・ピン君、ロン・ウォンポン君、リ・ミン君、トゥン・チネイ君、そして私。マ・クン君が、やや遅れてやってくる。
「猟奇的な先生」の授業。「モッテヨ(できません)」と「チャル モッテヨ(よくはできません)」の違いを学ぶ。「モッテヨ」は、全然できないことを意味し、「チャル モッテヨ」は、「できるにはできるが、上手ではない」という意味。
先生が私に質問する。「中国語はできますか?」「モッテヨ」
今度はリュ・ピン君に質問。「リュ・ピン!日本語はできますか?」
「チャル モッテヨ」
「リュ・ピン!違うでしょ。『チャル モッテヨ』だと、少しはできる、ということなのよ」
「できます!」
「言ってみなさい」
「アイシテル!」
私が教えた日本語が、初めて役に立った!と思ったのもつかの間、
「他には?」
しまった。他の言葉を教えていなかった。
「…アイニチワ」
「それは『こんにちは』でしょう!それでは『チャル モッテヨ』とは言わないのよ」
と、あえなく撃沈。
そして「猟奇的な先生」の授業時間も最後を迎えた。
「この班のみんなが2級に行ければ、いいと思っている」
この言葉を、何度かくり返しつぶやいた。そしてつけ加える。
「もし、来学期また1級ということになったら、また私が教えることになるからね」
最後に先生は、私に質問した。
「1級の授業はどうだった?簡単だった?難しかった?」
「クジョクレッソヨ(まあまあでした)」
昨日習ったばかりの言葉で答えた。「クジョクレッソヨ」。便利な言葉だ。
続くベテランの先生の授業。相変わらずの学級崩壊。
学生が教室を出たり入ったりする。
リュ・ピン君が「ソンセンニム!チング(友達)がお腹が痛いというので、早退していいですか?」
「おかしいわよ。友達がお腹が痛くて、なぜリュ・ピンが授業を早退しなければならないの?」
「僕がいないと病院に行けないやつなんです」
どう考えても、リュ・ピン君よりもその友達の方が韓国語が上手だと思うのだが。
「今日は最後の授業なのよ!…わかったわ。行ってきなさい」
そのままリュ・ピン君は戻ってこなかった。
続いてマ・クン君。今日のマ・クン君は、教室を出たり入ったりしている。
「ソンセンニム!飛行機の切符を買わなければ行けないので、早退してもいいですか?」
「ダメです。飛行機の切符なら、授業を終わってからでも買いに行けるでしょう」
最後の授業らしい緊張感などまるでなかった。
ベテランの先生の授業も終わりに近づく。マ・クン君が質問する。
「ソンセンニム!もし僕たちが2級に行けたら、また韓国語を教えてくれますか?」
「教えたいけど、無理なのよ」
新学期から、別の大学で教えることになるのだ、という。だからこの大学での語学の授業は、これで最後なのだ。
「先生も、みんなともっと勉強したかったんだけど…」
そして授業の最後に先生がいつも言う言葉、
「マチムニダ(終わります)」
を、目に涙をため、言葉を詰まらせながらおっしゃった。
あれだけ悩まされてばかりの班だったのに、不思議なものだ。
そしてみんなは、いつもよりやや大きな声で、挨拶する。
「アンニョンヒ カセヨ!(さようなら)」
学生たちとは、明日の期末試験でも会うとは思うが、ちゃんとした挨拶は、これが最後かも知れない。
さよなら、1級1班!
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