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安東・書院の美学

2月21日(土)

昨日夜、妻の食中毒がだいぶ回復したことから、明日は安東(アンドン)あたりに行きたいねと話していたところ、おりしも大学院生のウさんから電話があり、車で連れて行ってくれることになった。

朝9時、ウさんの運転で、大邱を出発。1時間半かかって、安東に到着した。

安東は大邱の北方、慶尚北道にある町である。朝鮮王朝時代の支配階級である両班(ヤンバン)の文化が色濃く残っていることで知られている。

Photo ガイドブックを見て、行きたかったところが、安東民俗博物館と、ハフェマウル(河回村)であった。民俗博物館は、韓国の民俗儀礼がわかりやすく展示されていて、面白い。

Photo_2 ハフェマウル(マウルは村の意)は、朝鮮王朝時代の両班家屋が、時を忘れたかのように残っていて、今でもその村には300人近くの人が実際に居住している、といううたい文句の村である。韓国でよく見られる、「民俗村」のようなものといってよい。

行ってみると、交通が不便なところにあるにもかかわらず、あまりに観光客が多いのでビックリした。予想以上に観光地化が進んでおり、どちらかといえば「ガッカリ」した。

Photo_3 最後にウさんに勧められて行ったのが、ハフェマウルから車で10分くらいのところの屏山書院である。ガイドブックにもほとんど載っていない。

韓国における書院は、朝鮮王朝時代の儒学者の活動の拠点であり、今でいう学校の役割を果たしていた。韓国の伝統的建造物としても知られている。

これまで、いくつかの書院を見てきたが、この屏山書院はなかでもとりわけすばらしい。

何がすばらしいといって、建物配置の美しさ、そして、屏山書院からみえる景色のすばらしさである。

まず、門を入ると、楼があり、その楼をくぐると、書院の本堂がある。

Photo_4 それ自体は一般的な書院の配置だが、すばらしいのは、門に入った瞬間、楼にかけられた額とその奥にみえる本堂の額(手前と奥の2つの額)が、すべて同時に見られるように作られていることである。

何でもないことのようにも思えるが、よく観察すると、門に入ったときにすべての額が同時に見られるように、一つ一つの額の取りつけ角度を調整しているのである。

そして今度は本堂に座り、前面の楼に目をやると、さらに驚いた。

Photo_5 楼の屋根と床の間の吹き抜け部分から、ちょうど目の前を流れている洛東江という川が見える。

つまり、本堂から見たときに、洛東江の流れが楼の吹き抜けのすき間から見えるように、設計がなされているのである。

まるで、楼の屋根、床、そして柱が、額縁のような役割を果たしている。

なんと計算し尽くされた建築技術だろう。風景と建物が一体となって、一つの世界を形成しているではないか。

いままで書院を見ても、いまひとつピンと来なかったが、書院を見るおもしろさがわかったような気がした。

それまでどちらかといえば退屈に感じていたものが、見方をひとつ変えるだけで、こんなにも面白く映るものか。

うーむ。それにしてもこのすばらしさを言葉で説明するのが難しい。撮った写真もいまひとつで、なかなか伝わりにくいな。建築史家や美術史家には、なれそうにない。

今週は、南の釜山から北の江陵まで、韓国を縦断した1週間だった。明日は妻が帰国。そして私は、ソウルへ。学生の卒業旅行に合流する。

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