一時帰国
一時帰国の間に、やらなければならないことがいくつかあった。
その中で最も重要なことは、「県立図書館から借りた本の返却」である。
渡航後、県立図書館から借りた本を1冊、返し忘れていたことが判明。何度か督促のハガキが来たようだが、なにぶん海外ゆえ、どうすることもできない。
人に頼んで返してもらえばいいようなものだが、なにしろその本は、ゴミ屋敷のような研究室に埋もれている。他人が見つけるのは至難の業である。
仕方なく、一時帰国のときに見つけ出し、無事返却する。約3カ月の延滞である。不幸中の幸いで、その本の貸出予約をしている人はいなかった。
もし3カ月後の一時帰国がなければ、1年3カ月延滞するところであった。そしてこれが、図書館の本ではなく、レンタルビデオだったら、延滞料金をいくら請求されたことだろう。ゾッとする。日ごろのずさんな管理体制を反省した。
勤務地に戻った2日(月)、3日(火)の夜は、会いたいと思った人たちと、お酒を飲みながらじっくりとお話ができた。
そして4日(水)。
職場の送別会が、ホテルの披露宴会場みたいな場所で行われた。この機会に便乗して、参加させてもらうことにする。
いろいろな人に、「あれ?なんで帰ってきたの?」と言われるが、そのたびに答えるのがけっこう面倒くさい。「会議のため」だの、「この送別会のため」だの、「ホームシックになった」だの、と、いいかげんな答えをする。
おとなしく飲んでいると、職員の方が私のところにやってきた。
「これから恒例のカラオケをやりますんで、ぜひ先生も歌ってください」
ここ何回か、ホテルの披露宴会場みたいなところで職場の宴会が行われると、決まって後半はカラオケ大会になる。その仕掛け人が、この職員の方であった。
「勘弁してくださいよ。一時帰国してる身なんですから、まずいでしょう」
「いえ、大丈夫です。書類上は何の問題もありません」
カラオケに「書類上の問題」も何もあったものではないが、いかにも職員らしいお答えである。
「何を歌いますか?」
「いとしのエリー」か「ブルーライト・ヨコハマ」かで迷ったが、「ブルーライト・ヨコハマ」を歌う必然性が思いつかず、「いとしのエリー」にする。
「いとしのエリー、いいですね。じゃあ、私も歌わせていただきます」
その職員の方と、男2人のデュエット。
たぶん、はじめてカラオケで「いとしのエリー」をちゃんと歌う。
歌い終わって席に戻ると、同世代の同僚が、
「この歌、私たちの世代にとって、ど真ん中の歌ですよねえ」
としみじみ言う。
私はそれほど思い入れはないんだけどな。ただ単に、2カ月ほど前のリベンジで歌っただけなのだが。
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