2級4班親睦会
3月27日(金)
語学の授業の休み時間中、パンジャンニム(班長殿)のス・オンイ君が私のところにやってきて、「今日、ウリ班(私たちの班)のみんなで一緒に夕食を食べようと思うのですが、一緒にどうですか?」と誘ってくれた。
「一緒に行っていいの?」と聞くと、横にいた愛嬌のある顔のリ・ポン君が、「行きましょうよ」と言ってくれたので、ありがたく誘いを受けることにした。
授業が終わり、夕方6時半に語学堂の1階で待ち合わせる。1階の玄関のところで数人で待っていると、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「お!みんなどうしたの?」
「猟奇的な先生」である。久々の登場である。
「ソンセンニム、アンニョンハセヨ」と、私はビビリながら挨拶する。
「リ・ポン!これは何の集まりよ」
「猟奇的な先生」は、リ・ポン君をよく知っているらしい。愛嬌のある顔だから、一度見たら忘れないのだろう。
「ウリ班のチングでこれから一緒に夕食を食べに行くんです」
「みんな同じ班なの?」
「はい」
「(担任の)先生は誘ったの?」
「いえ」
「悪い子たちね…。何班?」
「4班です」
「じゃあクォン先生の班ね。クォン先生、体が大きくて恐いでしょう」
(あんたの方がよっぽど恐かったのだが…)と喉まで出かかった。
「いいわ。クォン先生に言いつけておくから。リ・ポン!月曜日に学校に来たら、これだからね」
そう言いながら「猟奇的な先生」は、手刀で首を刎ねるまねをした。
そして颯爽と去っていく。
相変わらず、小柄で痩身だがものすごい貫禄である。私の頭の中で、ダースベーダーのテーマが鳴り響いた。
食堂に歩いていく道すがら、先学期に「猟奇的な先生」の授業を受けた、という学生たちと話をする。
「キム先生、とても恐かったでしょう」
「ええ、でも、最初は恐かったんですけど、あとになって、いい先生だ、とみんなが思うようになりました」
と、口を揃えて言った。
さすが、学生はよく見ている。
うまい言葉がみつからないが、いま思えば、「猟奇的な先生」は、学生との距離の取り方が絶妙だった。必要以上に、学生の中に入っていこうとはしない。緩急のつけ方がうまかったのである。
いま授業を受けている大柄の先生は、どちらかというと、学生の中に積極的に入ってこようとする。積極的に学生に話しかけたり、果ては、スキンシップをとろうとしたりもする。
授業と授業の間の休み時間の間も、教員室に戻らすに教室にいて、学生とコミュニケーションをとろうとなさる。学生と友達感覚で接しようとされているのである。
これが何となく息苦しくて、つい、休み時間には私の方が教室を出てしまうのだが、「猟奇的な先生」は、休み時間は必ず教室を出て、教員室に戻っていった。些細なことだが、この緩急が意外と大事なことであった。
こんなことを感じているのは私だけだろうか?いや、今日の夕食に、あのフレンドリーな先生を誘わなかったところをみると、中国人留学生たちも、同じような感覚を抱いているのではあるまいか、と、例によって妄想がふくらむ。
学生に信頼される先生とは、どんな先生なのだろう。ここで語学の授業を受けていると、そのことについて、つくづく考えさせられる。
うーむ。こんな分析をするなんて、厄介な学生だな。こんな分析をする学生がいたら、イヤだな。語学の授業を素直に受けさえすればいいことなのに、と、我ながら思う。
さて、今日の夕食は、大学の近くで「安東チムタク」という、安東名物の辛い鶏料理を食べる。
全員が集まったわけではなかったが、これまでまったく話す機会のなかった人たちとも、少しずつ話すことができた。
逆に、彼らにとっても、これまで私に話しかける機会がなかったわけである。お菓子好きのル・ルさんなども、いろいろ聞きたいことがあったらしく、積極的に話しかけてくれた。習ったばかりの表現を積極的に使って喋っているところにまじめさがあらわれていて、なんとも微笑ましい。
食事のあとは、ノレバン(カラオケ)である。みんな矢継ぎ早に、中国語や韓国語の歌を歌いまくっている。
私も、「TSUNAMI」と「世界にひとつだけの花」と「昴」を歌う。
「またサザンかよ!本当はサザンのファンなんじゃないか?」と言われそうだが、決してそうではない。海外では、こういうベタな歌の方がよいのである。
ちなみにあとの2曲は、日本の歌が好きな学生が、勝手に選曲したものである。
ビックリしたのは、キザなタン・シャオエイ君が、韓国語の歌を何曲も見事に歌い上げていたことであった。次第に彼のリサイタルのようになっていたので、途中で失礼することにした。
それにしても、2年も韓国にいて、韓国語の歌もあれだけ上手に歌うのに、なぜ彼はいまだに2級なのだろう。謎である。
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