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壁に向かって話すな!

3月25日(水)

午前中、私の研究室がある博物館に、学術交流を結ぶ目的で日本の某機関から2名の先生がいらっしゃったので、午前中いっぱいおつきあいする。館長先生に昼の会食も誘われたが、語学の授業があることを理由にお断りする。

韓国では、授業のために会食を断るなんて、考えられないのかも知れないが、これも性格なので仕方がない。午後の授業に出ることにする。

昨日の授業で、「韓国語をどうやって勉強しましたか」という質問をされた。

「将来、テレビのインタビューで聞かれたときに、何て答えるか、今から準備しておきなさいよ」と、「粗忽者の先生」はおっしゃるのだが、そんなことあるはずがない。

「韓国語の会話はどうやって勉強しましたか?」と先生がインタビュアーに扮して質問する。

「韓国の友達とたくさん話をしました」「市場でアジュモニ(おばさん)とたくさん話をしました」などと、中国人留学生たちの模範的な答えが続く。

次に先生は私に向かって同じ質問をした。

「韓国語の会話はどうやって勉強しましたか?」

「ホンジャソ ピョゲ マレッソヨ(ひとりで、壁に向かって話をしました)」と答えた。

すると、中国人留学生たちは大爆笑。だが、先生は、ビックリしたような顔をなさって、

「アンデヨー!(そんなことをしてはいけません!)」

と、おっしゃる。

こちらは冗談で言ったつもりだったのだが、どうやら本当にそうやっていると思われたらしい。

たしかに、客観的にみれば、1人しかいない日本人で、しかも他の学生の倍の年齢のおっさんである。1人で生活して、誰も話し相手がおらず、とうとう頭がおかしくなって、1人で壁に向かって話すようになった、と本気で思ってしまわれたのではないか。

このところ、教室でめっきりおとなしくなってしまったことも、そうした誤解に拍車をかけたものと思われる。

この答えを言ってからというもの、心なしか私に対する先生の接し方が妙にやさしくなった。それまで、人の話などゆっくり聞かなかった先生が、私の話すことを聞いてくれるようになった。

後半の大柄の先生も、「壁になんか話さないで先生に話しなさいよ~」とおっしゃる。

今ごろ教員の間では、「あいつは最近様子がおかしい」と話題になっているのかも知れない。

しかし、今日の授業も、それに負けないくらい異常である。

授業の最後に、「ヨジャチング(ガールフレンド)やナムジャチング(ボーイフレンド)に手紙を書く」という練習をする。「みなさーん。例文にならって、即興で、ヨジャチングに送る手紙を考えてくださーい」と大柄の先生。

何でそんなことにつきあわなきゃいけないんだ。

「ヨジャチングがいませーん」と、多くの中国人留学生たちが言う。

「将来のヨジャチングに手紙を書いてくださーい」

ますます意味がわからない。

先生が用意した例文は、「ロボット君」という架空の男の子が書いた、次のような手紙だった。

「愛するヨジャチングへ

今はまだヨジャチングがいませんが、未来に会うヨジャチングに話したいことがあります。

今どこにいますか?早く会いたいです。

あなたに会ったら、私のチング達を紹介したいです。

そして、プレゼントもたくさんして、一緒に旅行に行きます。

あなたはとても美しいですか?早く会えたら嬉しいです。

それでは、私に会うときまで、元気に過ごしてください。

さようなら」

うぅーっ…。なんかキモチワルイ。

「ではロボット君にならって、みなさんも、即興でヨジャチングへの手紙を考えてくださーい」

できるか!そんなもん。

こうした即興には強いはずの中国人留学生たちも、さすがにこればかりはどうしていいかわからないようだった。

「壁に向かって話すおっさん」より、「ロボット君」の方がよっぽど重症なのではないだろうか。

こんなことなら、昼の会食に参加すればよかったか?

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