クイズ、の日
語学の教室では、語学学校らしく、ひとりひとりが、机と椅子が一体となったものに座る(なんという名前なのかわからない)。
図体の大きい私には、少々窮屈なのであるが、仕方がない。
授業がはじまる直前に教室に入ると、中国人女子留学生のルー・ルーさんが、その机と椅子が一体になったものを、よいしょ、よいしょと、自分の座る場所の横に移動させている。
(自分が座る場所があるのに、どうしてだろう…)と思ってみていると、横に置いた机の上に、山ほどのお菓子をのせて、モリモリと食べはじめた。
そういえば、ルー・ルーさんは、毎日のように、山ほどのお菓子を教室でモリモリ食べている。といって、スタイルが悪いわけでは決してない。かなりの美人で、授業態度も至ってまじめである。
そこへ「粗忽者の先生」が、カセットデッキを持って入ってきた。
しかしリスニングに使うカセットデッキを置く場所がない。先生がルー・ルーさんの横に空いている机があるのを見つけて、「その机貸してちょうだい」というと、
「これはお菓子をおいている机なのでダメです。そこにパイプ椅子があるので、その上にカセットデッキを置いてください」
と言った。
先生は最初、言われるがままにカセットデッキをパイプ椅子の上に置いたが、そうすると、今度は先生自身の座る椅子がなくなってしまう。
「先生は腰が痛いのよ。だからその机を貸してちょうだい」
ルー・ルーさんは、仕方なくその机を明け渡した。
さて、今日は今学期1回目の「クイズ」の日である。
1学期に4回、「クイズ」と呼ばれる小テストがある。「クイズ」の日には、授業の最初30分を使って、文法を中心にした試験を行う。当然、この「クイズ」の点数も、成績に考慮される。だから最近は「クイズ」という言葉を聞いただけで、反射的にイヤーな感じになる。
クイズが無事終わり、引き続きリスニングの授業。そこでも「クイズ」の話題。
といっても、今度は、ラジオ番組で聴取者に問題を出し、答えがわかった聴取者が電話をかけて答える、という手の込んだ設定の会話を聞き取る練習である。
ひととおり終わったあと、「粗忽者の先生」が、「じゃあ今度はみなさんで問題を出しあってやってみましょう」とおっしゃる。誰かがラジオの司会者に扮し、誰かが聴取者に扮して、会話を進めるのである。
そして私が、司会者の役を仰せつかる。
私「これから問題を1問出します。わかった方は、早く電話をかけてきてください」
「正解者への商品はなんですか?」と先生が質問する。
私「自動車です!」
この言葉に中国人留学生たちが色めき立つ。ウソなのに。
「では問題です。日本人がいちばん好きな韓国ドラマは何でしょうか?」
ここからが、集団コントの始まりである。
「チリリリリーン、チリリリーン」
自動車は俺のものだと言わんばかりに、パンジャンニム(班長殿)が真っ先に手をあげた。
私「あ、電話が来ました。はい、答えをどうぞ!」
「すいません、問題をもう1回言ってください」
「チリリリリーン、チリリリーン」
今度は愛嬌のある顔のリ・ポン君が手をあげる。
私「あ、また電話が来ました。答えをどうぞ!」
「すいません。わかりません」
まるで大喜利の司会者になった気分である。
もちろん、まじめに答えた人もいた。「それは『花より男子』ですか?」「それは『クン(宮)』ですか?」
いずれも間違い。結局、正解の「冬のソナタ」を答えた人はいなかった。
さて、「粗忽者の先生」の授業が終わった休み時間、ルー・ルーさんは、クッキーを一袋食べ終わり、次にポテトチップスをモリモリと食べはじめた。
どんだけ食べるんだろう。
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