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粗忽者の先生

今度の班の学生は、基本的にみなまじめである。

授業中、先生が、「韓国ではバスは『○番のバス』といったように番号で呼びますが、日本ではどうですか?」と聞かれたので、「日本では『○○行』と呼びます」と答えた。

するとそのやりとりを、学生たちはメモしはじめた。

先生は、「いまの話は雑談なんだから、メモしなくてもいいのよ」とおっしゃる。

また、授業の間の休み時間にも、先生に熱心に質問している。先生が「休み時間なんだから休みなさい」と言っても、勉強している学生が多い。

前学期の1級1班のときとは大違いである。

そんな中にあって、右隣に座っているチャン・ハン君は、少し異質である。

授業中、他のことを考えているのか、ボーッとしていることが多い。

そんな彼が、休憩時間に、昨日に続いて私に話しかけてきた。

「韓国語がわからないので、英語で話していいですか?」

そういうと、英語でなにか話しはじめた。しかし、発音が悪いのか、私の聞き取り能力がないのか、何を言っているかよくわからない。

何度か聞き返すと、どうも「日本の物価は高い」とか、「日本の女性はかわいい」とか言っているようである。

「そうだね」とだけ答えると、彼はまたイヤホンを耳に当て、音楽を聴き始めた。

どうもよくわからない。

さて、授業の方はというと、あいかわらず、前半の文法の先生の授業のペースがはやい。

さらに悪いことに、今日は、6課と7課をまとめてやる、という予定になっていた。

ふつう、1日に1課なのだが、1日1課のペースでは今学期中に終わらないらしく、まれに、1日に2課分をやらなければならない日があるのである。

前半の先生は、それだけでかなりパニクっているようである。

ただでさえ慌ただしい授業が、さらに慌ただしくなる。文法の説明を急いでなさるのだが、途中まで説明して、「…ちょっと待ってね。これは後で説明するんだったわ。それよりこっちを説明しなきゃね」と、説明が混乱しはじめる。

今日は、「あまりに○○なので、○○できませんでした」の表現を学ぶ。

この表現を使った文を作りなさい、とあてられたので、「あまりに道が混んでいるので、タクシーに乗ることができませんでした」と答えた。

すると先生はそれを聞いて、「料金が高いから、タクシーに乗れなかった、ということね」とおっしゃる。

「いえ、『あまりに道が混んでいるので、タクシーに乗ることができませんでした』です」

「だから、料金が高いから、ということでしょ?」

???

学生全員から、一斉にツッコミが入る。

「『道が混んでいるから』です!」

どうも先生は、聞き間違えたらしい。

私の発音が悪かったからだろうか?他の学生たちがみんなわかってくれたところからみると、どうもそうではなさそうだ。

むかし『12人の優しい日本人』という映画で、豊川悦司のセリフに「『聞き違い』と『思いこみ』、これはおばちゃんの2大要素じゃないですか」というのがあったことを、なぜか思い出した。

失礼ながら、この先生を粗忽者と評してしまうのは、こんなことがよくあるからだ。私の好きな落語のネタに「粗忽長屋」という話があるが、そこに登場するようなキャラクターである。

少しくらい手を抜けばよいものを、まったく手を抜かずに授業をなさっている。それがまた、先生の混乱ぶりに拍車をかけている。

授業が終わり、先生がまた私のところにやってきた。

「どう?まだ(進み方が)はやい?」

昨日とくらべて、明らかにはやくなっていたが、

「いえ、大丈夫です」

と答えた。

こうなったら、このペースについて行くことにしよう。

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