間違った方向の努力?
韓国の高校生は、夜遅くまで学校で勉強する、という。
先学期に授業を担当されたベテランの先生も、高校生の娘さんが毎晩夜10時まで学校で勉強している、とおっしゃっていた。
ある人に聞くと、韓国の高校では、夕方に授業が終わってから、いったん夕食を食べたあと、再び夜9時まで、自習しなければならない、という。つまり、夜9時まで、生徒たちは高校に拘束されるというのだ。夜9時以降も高校で勉強する生徒がいて、夜11時とか12時まで勉強する生徒もいるという。
語学学校で授業を受けていると、そうした勉強に対する容赦ない厳しさが、十分に想像できる。
今学期は前学期以上にスパルタである。
ちょっとでもボーッとしていると、先生がやってきて、「いま、他のこと考えていたでしょう」と詰め寄る。
私の右隣の席のチャン・ハン君は、その常習犯である。いつもボーッとしている。2人どうしの会話練習で一緒になると、あまり練習したくないらしく、私に英語と韓国語のチャンポンで話しかけてくる。だが発音が極端に悪いので、ほとんど理解できないのだが。
それに気づいた先生が近づいてきて、「いま、他の話してたでしょう。勉強しなさい」としつこくおっしゃる。
むかしから「勉強しなさい」と言われるのが死ぬほど嫌いだった私は、その言葉を聞くたびに、たとえ自分に対してではなくとも、イヤーな気持ちになる。
小学校高学年の頃、親に言われてスパルタ式の学習塾に通うことになったのだが、あまりに「勉強しろ、勉強しろ」とうるさく、ちょっとでも間違えると殴られたりしたので、泣きながらその先生を罵倒して、2日でやめることにした。それからというもの、「もう2度と塾なんか行くものか!」と思い、高校卒業まで、塾に通うことはなかった。
なんかその頃のことを思い出すのである。
(もういいじゃん。勉強する気のないやつに勉強させようとしたって仕方がないんだから。お互いの幸福のために、ボーッとさせてやれよ。落第するのは自己責任なんだし)
と思うのだが、語学の先生としては、そうはいかないらしい。ひょっとして、先生にもノルマがあるのだろうか。
それにしても、4時間、ほとんど頭を休めることなく授業に集中しなければいけないというのは、かなりこたえる。
それでいて、授業で出されるお題は、非現実的なものが多い。
昨日の「まだ見ぬガールフレンドへの妄想手紙」というのもそうだが、今日は、故郷の両親へ手紙を書く、という宿題が出される。
「みなさーん。故郷にいるご両親に手紙を書くと、ご両親もきっと喜びますよー。だから手紙を書く練習をしましょう」
と大柄の先生はおっしゃるのだが、これは明らかにおかしい。
中国や日本にいる両親に、韓国語で手紙を書く、という機会は、おそらく今後一切ないだろう。なぜなら、両親は韓国語が読めないから。書くとすれば、母国語で書くのが当然である。
では、いったい何のための練習なのだろう。ここで出された宿題が、今後役に立つことは、未来永劫にないのである。それをわかっていて、書かなければならない。
そう考えると、むなしい作業である。
いや、疑問を持ってはいけないのだ。疑問を持ってしまったら、ここで学ぶ気が一気に失せてしまう。
ひょっとして先生は、そうした疑問を抱かせないために、「他のことを考えずに勉強しろ、勉強しろ」と、洗脳するかのようにおっしゃっているのかも知れない。
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