間違えたら罰金100ウォン
4月27日(月)
「今日の授業は、今まででいちばん重要な文法をやります。これがわからないと、これから韓国で生きていけませんよ。だから授業をよく聞きなさいよ」
いつになく「粗忽者の先生」が、神妙な顔つきでおっしゃる。
留学生たちに授業を注目させるためにそこまで言うか?と思ったが、さにあらず。本当に重要な文法だった。
今までずっと、日本語でいえば「です・ます」体の表現を使ってきたが、今日は、はじめて「である」体の表現を学ぶ。
この「である」体の表現は、新聞、小説、論文など、あらゆる媒体で使われる。だからこの「である」体を使えるようにならないと、たしかに生きていけないのである。しかも、韓国の大学に進学しようと考えている留学生たちにとっては、死活問題である。
「です・ます」体を「である」体に言い直す練習。簡単そうだが、けっこう難しい。
「いいですか。これから一人ひとりあてていきます。間違えた人から100ウォンづつ罰金を徴収しますよ」と先生。
もちろん、本気ではないが、いかにも韓国らしいペナルティである。
本気ではないにせよ、留学生たちにとってはプレッシャーである。一人ひとり、緊張しながら解答する。
ひとまわりしたあと、「さてみなさん。今度は、教科書の問題ではなく、『である』体の文を自分で考えて言ってください。言い間違えた人は、今から罰金は200ウォンに上がります」
そして先生はつけ加える。
「チング(友達)の言った文章が、文法的に間違いだと気づいた人は、『間違いだ!』と指摘してください。いちばん早く指摘した人に、200ウォンをさしあげます」
つまり、他の人の間違いを告発した人に賞金が支払われる、というわけである。
ここから、壮絶なバトルが始まる。
誰かが言い間違えるたびに、他の人たちが「間違いだ!」と指摘する。まさに告発合戦である。
いちばんの犠牲者は、「孫悟空」ことチャン・イチャウ君である。彼は天然のところがあるので、「絶対に間違えるな」というところで、間違えてしまう。
しかも、簡単な文を作ればいいものを、長い表現を作ろうとして、自爆するのである。
何度も同じところで間違えるチャン・イチャウ君に、先生も本気で大笑いしてしまう。
他の人たちは、足下をすくわれないように、「ここは教室だ」とか、「今日は日曜日だ」とか、短い文ばかり作るようになる。
「短い文章ではダメよ。もっと長い文章を作りなさい!」と先生。
「ホ・ジュエイ!長い文章を作りなさい」
雨上がり決死隊の蛍原に髪型までそっくりのホ・ジュエイ君が答える。
「チャン・ハンと、マ・ロンと、リ・ポンと、リ・ミンと、ル・タオと、チャン・イチャウと、タン・シャオエイと、リ・ペイシャンと、ヤン・シニャンと、ホ・ヤオロンは、かっこいい」
「なによそれ」
「だって長い文章を作れ、と言われたので」
「そういうことじゃないでしょ!」
瞬時に考えつくホ・ジュエイ君の才能はすごい。私は手を叩いて大笑いする。
語学の授業であることを忘れる瞬間である。
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