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タクシー、のはなし

タクシーに乗って、不快に感じた経験が一度もない、という人は、おそらくいないのではないだろうか。

もちろんどの国でも、良い運転手さんが多いに決まっているのだが、なかには、そうでない人もいる。海外だと、その区別がなかなかつきにくい。

よくあるのは、「乗車拒否」である。2年ほど前、北京に行ったときのことである。その日はちょうどクリスマスで、繁華街の王不井(ワンフーチン)は夜遅くになっても、多くの人でごった返していた。私と妻は、そこから宿泊先のホテルに戻ろうと思って、タクシーを探すが、なかなか見つからない。やっとの思いで見つけ、行き先を告げたが、まったく乗せてもらえなかった。その後も何台かと交渉したが、どのタクシーからも、乗車を拒否された。

運転手からすれば、「クリスマスのこんなかき入れ時に、そんな近くまで乗せてやれるか!」ということなのだろう。

だからといって、中国のタクシーの運転手に、悪印象を持ったか、というと、そんなことはない。それ以外のところで乗ったタクシーの運転手は、いずれも親切な人ばかりであった。

海外に行くと、とくにタクシーに気をつけろ、などといわれたりする。

数年前にタイのバンコクに遊びに行ったときのこと。ガイドブックを読むと、「タクシーの運転手に行き先を告げると、『その店はもう潰れたから、俺が違う店を紹介してやる』といって、強引に違う店に連れて行かれて、ぼったくられることがあるので注意」などと書いてある。

さて、私と妻は、ガイドブックに載っている食堂に行こうと、タクシーに乗った。

私はガイドブックを運転手さんに見せて、「ここに行ってください」と言うと、その年輩の運転手さんは、どうも「その店はもう潰れたよ」と答えたようだった。

きたきた!これは、例のぼったくりか?と思い、妻に「早く降りよう」と言って、そのタクシーをすぐさま降りた。

「なんで降りたの?」

「だって、ガイドブックに書いてあったよ。『その店はもう潰れている』って言って、他の店に連れて行く、ていう手口があるって。いまの運転手も、同じ手口だろう」

次に、年の若い、誠実そうな顔をしている運転手さんを見つけ、同じようにガイドブックを見せて「ここに行ってください」と言った。

すると運転手さんは、私が言った通りの場所に連れて行ってくれた。

タクシーから降りて、その食堂を探すが、いっこうにその食堂が見つからない。地図によればここに間違いないのにもかかわらずである。

どうやらその店は、本当に潰れているらしかった。最初に乗ったタクシーの運転手は、ベテランであるがゆえに、そのことを知っていたのであろう。親切にも本当のことを言ってくれていたのである。しかし私たちは、自分たちを騙している、と疑ってかかったのであった。そして次に乗ったタクシーの運転手さんは、まだ若くて、その店が潰れていたことを知らないまま、その場所まで連れて行ってくれたのではないだろうか。

世の中、何が善意で、何が悪意なのかは、よくわからない。

さて、韓国のタクシー事情である。

以前、韓国に旅行したとき、ひとりでタクシーに乗る人が、後部座席ではなく、運転手の隣の助手席に乗っているのを見て、不思議に思ったことがある。

なぜ、後部座席が空いているのに、助手席に乗るんだろう?日本では考えられないことだ。

あとでわかったことだが、韓国ではかつてタクシーの「相乗り」(合乗)がよく行われていたためだという。

すでに客が乗って走っているタクシーを、別の客が路上でつかまえて、同じ方向に行く場合、相乗りする、というものである。だから、後部座席をあらかじめ空けておく場合が多かったというのである。

いまは、合乗が禁止されているようなので、そのような光景を見ることはなくなった。ひとりでタクシーに乗るときも、助手席ではなく、後部座席にふつうに乗ることがほとんどである。

韓国のタクシー料金は、日本にくらべてはるかに安い。バスの路線が複雑でよくわからないこともあり、気軽にタクシーを利用してしまう。

昨晩(4月11日)、最終のKTXで東大邱駅に到着したあと、もうバスが終わっていたので、タクシーに乗った。

行き先を告げると、何も言わず走り出したが、私が思っている方向と違う方向にどんどん走っていく。

最初は、別のルートで行くのかな、と思っていたが、それにしては、どんどんと離れてゆくようだ。行き先をかなりはっきり言ったつもりだったんだがな。

慌てて、「○○市場の近くなんですけどね。○○路にある、」と念を押すと、まだわからないふりをしている。「○○大学、わかりますか?○○大学の近所なんですけどね。○○大学もわかりませんか?」と言うと、ようやく、ハンドルを切り返した。

私の発音が悪かったのか?でも、発音が悪かったのなら、運転手が聞き返すはずである。ろくに確認もせずに走り出したのは、意図的に『遠回り』した、と疑われても、しかたのないことであろう。おそらく、私の言葉を聞いて、即座に外国人だとわかり、わざと遠回りしたのではないだろうか、と、さらに疑念は深まる。

しかも、深夜0時を過ぎていたので、割増料金もとられるのである。結局、通常の倍以上もとられて、実に不愉快な思いをして、タクシーを降りた。

いままで、タクシーに乗ってとくに不便を感じたことはなかったこともあり、こちらも少し油断をしていた。海外で生活している、という自覚を常に持っていないとね。とくに深夜には。

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