研究会に参加する
4月16日(木)
毎週木曜日の夜、研究会が開かれていることを、以前ある先生からお聞きした。
出てもどうせわからないだろう、と最初は逡巡したのだが、今日から参加することにした。
市内にある、商工会議所の一室で行うという。
語学の授業が終わり、幹事の先生の車に同乗させてもらって会場に着くと、参加者は10名ほどで、この近辺の大学の先生ばかりであった。みんな私より年上の先生ばかりである。
場違いだったかな、と思い、隅の方に座ろうとしたら、「真ん中に座ってください」と勧められた。
研究会の形式は、あるひとつの史料をみんなで読むという、いわゆる輪読会である。毎回、担当者が、担当範囲の部分を口頭で読みながら解説する。
日本でやっている演習や研究会と、どこが違うのだろう、という点も、興味深いところである。研究会に参加しようと思ったのも、実はそれが知りたかったということもあった。
レジュメはなく、担当者がひたすら読み、解説をする。それに対して、他の人が議論をする、というもの。
言葉がわからないことに加えて、その史料についての予備知識がほとんどなかったため、内容は相変わらずわからない。だが、いま史料のどのあたりについて議論をしているくらいはわかった。
学部生時代を思い出す。学部3年で専門課程に進学して、大学院生の研究会にはじめて出席したとき、大学院生の人たちが史料を読みながら議論をしていた内容が、まったく理解できなかった。いったいこの人たちは、何を議論しているんだろう、と不思議に思ったものである。
今日も、あのときと同じである。だから、今日理解できないことは、少しも恥ずべきことではない。いまの私は、あのときの私なのだ。あのときまったくわからなかったことが、時間がたつにつれて理解できるようになったように、これから少しずつ、理解できるようになるだろう。少しもおそれることはないのだ。
夜9時。2時間の研究会が終わると、幹事の先生が、他の先生からお金を集めている。「会費ですか?」と聞くと、
「いえ、違います。前回欠席した人からお金を集めて、たまにやる飲み会の資金にしているんです」とおっしゃった。
なるほど。出席者から会費を集めるより、欠席者からペナルティとしてお金を集めたほうが、研究会のモチベーションも上がるというものだ。しかもこうすれば、割り勘文化のない韓国で、飲み会当日は誰の懐を痛めることもなく支払いができる。うまいことを考えたものだ。
商工会議所の建物を出ると、少し肌寒かった。幹事の先生から「初めての場所でしょう。家の近くまで送りましょうか」と言っていただいたが、「いえ、一人でバスで帰れますので」とお答えした。
自分の中で、さまざまな壁が、少しずつ低くなっていく。
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