映画をハシゴする
4月5日(日)
今日は、映画を見よう、と決める。
見ようと決めた映画は、クォン・サンウ先生の最新作「悲しみよりもっと悲しい話」(直訳)である。お昼ごろ市内に出て、映画館に行ったが、夕方5時以降からの回しかない、とのことであった。
そこで、別の映画をまず見ることにする。先日公開されたばかりの「影の殺人」という映画である。
まったく予備知識がなかったのだが、チラシを見ると、どうも探偵が出てくる推理映画のようである。しかも時代設定は、現代ではなく、100年近く前の「日帝時代」(植民地時代)。
むかしの探偵が出てくる推理劇、と聞けば黙ってはいられない。子どもの頃、金田一耕助や明智小五郎にハマった私としては、胸躍るものがある。
さて、内容は、いつもはスキャンダルをネタに仕事をしているしがない私立探偵(ファン・ジョンミン)が、ひょんなことから殺人事件に巻き込まれ、若き医学徒(リュウ・ドクファン)とともにその殺人事件の謎に立ち向かう、という話。相変わらずセリフはほとんど聞き取れないが、十分に楽しめる。
若き医学徒はさながら私立探偵の助手であり、ホームズとワトソン、という古典的な設定ははずしていない。
内容の面白さもさることながら、「日帝時代」の雰囲気を丁寧に再現し、カメラワークも非常に凝っているのがよい。主役のファン・ジョンミンは、雰囲気が山本太郎にそっくりである。役のキャラクターも、山本太郎がそのままやってもおかしくないような設定である。
出演者はどちらかといえば地味だが、ヒットすれば、シリーズ化しそうな予感がする。ただし、内容的にみて、日本で公開されることはないだろう。
映画が終わって、エンドクレジットが流れると、例によって、客はさっさと席を立って出ていってしまう。エンディングの曲を聴きたかったが、私も最後までいるのをあきらめ、出ることにした。
すると、私が出口を出た途端、あろうことか、客がいなくなったことを見計らって、エンドクレジットが途中でブチッと消えてしまったのである。映画館の側も、最後まで待てなかったのだろうか。何をそんなに急いでいるのだろう。
夕方の映画まで時間があったので、喫茶店で読書をして時間をつぶす。
学生時代、暇で暇で仕方がなかった頃、映画のハシゴをよくやったものだ。映画を見て、喫茶店で本を読んで時間をつぶして、また映画を見る。学生時代に戻った感じだ。
タイトルからして、みうらじゅん氏のがいうところの「涙強盗」の映画であることは十分に推測することができる。つまり、私たちから涙だけを奪って、あとに何も残さない、という映画である。
それにしても、この映画のタイトルはどうだろう。ずいぶんハードルをあげたものだ。
内容は…、やはり「涙強盗」の代表作である「僕の、世界の中心は、君だ」を思い起こせばよい。横にいたカップルの女性の方が、号泣していた。私は言葉がほとんど聞き取れなかったので、そこまで思い入れができなかったのが残念であった。
ただ言えることは、最後まで見て、タイトルの意味するところが何となくわかった、ということ、そして、クォン・サンウ先生がいい仕事をしていた、ということである。クォン・サンウ先生は、やはりいいね。決して2枚目ではないが、存在感と演技力は他の追随を許さない。
この映画でも、エンドクレジットが終わるのを待たずにみんなが席を立つ。せっかく、本篇の内容に関係が深いと思われる歌を、出演者が熱唱している映像が同時に流れているというのに、もったいない。隣で号泣していたカップルも、余韻にひたることなく、さっさと出口へと歩いていった。
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