生態
先週の火曜日、語学の授業で今学期3回目の「クイズ」があった。
中国人留学生たちは、例によって、自分のクイズの点数がひどく気になるようである。
翌水曜日の1時間目、「粗忽者の先生」が入ってくるなり、留学生たちがいっせいに質問する。
「ソンセンニム(先生)!クイズ、チョムス(クイズの点数は)?」
いくらなんでも採点結果が翌日にわかることはない。先生も「明日明日。明日よ」と答える。
翌木曜日、先生が入ってくるなり、留学生たちは、
「ソンセンニム!クイズクイズ!」
と騒ぎ出す。先生が、
「明日明日。明日よ」
と答えると、
「ソンセンニム!昨日は、今日知らせる、って言ったじゃないですか?」
「え?そうだったかしら。言い間違えたのよ。明日にならないと先生だってわからないわ」
としらを切る。
ところが、ここで事件が起こる。
1時間目が終わった休み時間、廊下にいた中国人留学生が騒ぎ出した。ある班(クラス)では、留学生たちがクイズの点数を教えてもらった、というのだ。
つまり、とっくに結果が出ているのに、先生は教えてくれなかった、ということである。
「ソンセンニム!どういうことですかー」
2時間目の授業が始まった早々、留学生たちは「粗忽者の先生」を責め立てる。
「あら、なんで教えちゃったのかしら。どこの班の先生?」
と先生は慌てだした。
ここからは私の想像だが、中国人留学生たちが、クイズの点数をあまりにも気にしすぎることが、語学の先生の間でも問題になったのではないだろうか。そこで、班によって、点数発表の日がバラバラにならないように、「金曜日の授業時間内に発表する」という紳士協定が結ばれたのではないだろうか。「粗忽者の先生」が、当初、水曜日の段階で「明日発表する」と言ったものの、結局金曜日にせざるを得なかったのも、そういう事情が背景にあったのではないか。
そして、留学生たちの要求に抗しきれなかったのか、とある班の先生は、フライングして木曜日に点数を教えてしまったのではないか。今ごろその先生は、会議でやり玉にあがっているかも知れない。
そして金曜日。
「粗忽者の先生」が教室に入ってくるなり、中国人留学生たちの大合唱。
「ソンセンニム!クイズ、クイズ!」
先生は、
「クイズ?今日はクイズなんてやらないわよ」
ととぼけてみせる。
「ソンセンニム!そうじゃなくて、チョムス(点数)です!チョムス」
「あ、点数のことね。そういえば今日点数を教える、て言ったかしらね」
先生は、留学生たちの生態を知りながら、わざとじらしているようだ。
「でも、授業をしてからの方がいいと思うわよ。落ち込むから。」
「大丈夫です先生!絶対に落ち込みませんから」
これも、彼らの常套表現。
「でも、パダスギ(書き取り試験)をしてからですよ」
そう言って、パダスギをはじめる。
パダスギが終わると先生は、
「さあ、授業を始めます」
とおっしゃった。
留学生たちがまた騒ぎ出す。
「ソンセンニム!クイズ、クイズ!」
先生もしらを切ろうとしたが、これ以上はやはり無理だったようだ。
先生が渋々と、クイズの答案をひとりひとりに配る。
案の定、落ち込む学生が何人も出る。これもいつもの光景。
いまだにわからない。なぜ彼らは、一刻も早く点数を知りたい、と思うのか。それが、彼らの生態なのか?
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