パンハク最終日
5月31日(日)
パンハク(休暇)の最終日。
市内に出て、映画を見ることにする。
妻が韓国に滞在するとのことで、昨日、私の指導教授が昼食に誘ってくださり、市内から車で30分ほどの山の上の食堂でおいしい料理をいただく。その帰り道、映画の話になり、指導教授が、かなりの映画通であることを知る。
最近の映画もかなりチェックされているらしい。「最近では『7級公務員』が面白かったです」と私が言うと、私が映画を見に行くことが意外だったようで、たいそう喜んでおられた。
「今だと、『コウモリ』という映画が話題になっているね」と指導教授。
「コウモリ」は、韓国映画の巨匠、パク・チャヌク監督の最新作。あの「オールド・ボーイ」の監督である。
「オールド・ボーイ」はまぎれもない傑作である。DVDではじめて見たときは、打ちのめされた。映画音楽もすばらしい。エンディングのワルツは、iPodで何度も聞いている。
主演は、ソン・ガンホ。癖のある役者、怪優というべきか。たまたま今朝、テレビで映画「シュリ」をやっていたので見てみると、ソン・ガンホも出ているんだね。「シュリ」のころから、相当な存在感を出していた。
さて、バスに乗って市内へ出る。「コウモリ」は、18:00からの回がいちばん早い。そこで、まず、以前に1度見たことのある「7級公務員」を見ることにする。
私は2回目だが、妻は初めてである。やはり面白い。1回目よりも、ややセリフが聞き取れたような気がする。
この映画、「バンパイヤ(吸血鬼)」の映画である。いわゆる「ドラキュラ映画」というべきものか。
映画監督は、誰でも生涯に一度は「ドラキュラ映画」を撮ってみたいと思うものだ、と、たしか大林宣彦監督が言っていた。ちょっとニュアンスが違うかも知れないが。
その大林宣彦監督は、商業映画に進出する以前に「いつか見たドラキュラ」という、自主製作の8ミリ映画を撮っていた。
「ドラキュラ映画」を撮りたい、と映画監督が思うのは、「ドラキュラ」(吸血鬼)が、破滅的でありながら、なにか悲しみのようなものを背負って生きていると感じさせるからではないだろうか。この映画でソン・ガンホが演じるバンパイヤも、ときおり見せる表情がどこか寂しげなのである。吸血鬼として生きる「業(ごう)」のようなもの、といったらよいか。
だが、それ以上に、猟奇的で、身震いのする描写がこの映画にはあふれている。18歳未満の鑑賞を禁止しているが、それはそうだろう、と思う。だって、40歳のおっさんでも目を覆いたくなるようなシーンが随所に見られるから。吸血鬼の猟奇性と悲しみを演じきったソン・ガンホは、やはり怪優である。
「オールド・ボーイ」に続き、またしても打ちのめされる。
隣の席で見ていた妻は、映画が終わると、血の色にも似たぶどうジュースをゴクゴクと飲み干した。
よく飲み干せるな。この映画を見た直後に。
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