ひとり暮らし、最後の日
5月26日(火)
あいかわらず大邱は暑い。
明日から、いよいよ妻が韓国に留学する。3月末までの10カ月である。
昨日から今日にかけて、部屋を大掃除する。もっとも怠惰な私のことだから、掃除といってもたかが知れているが。
ここ最近頭を悩ませていた6月12日の学会発表の原稿も、なんとか仕上げて、送信する。しかし、すぐまた、7月の学会発表の原稿を書かなければならないのだが。
午後、1カ月ぶりに散髪に出かける。お店の人が覚えていてくれていて、「1カ月前みたいな感じでいいですよね」と言ってくれた。
今日の暑さにくわえて、髪を切るときにまとわされるマントみたいなやつのせいで、汗がとめどなく流れる。たぶん、首のまわりをガッチリとふさがれるために、首から上が汗をかくのではないだろうか。散髪をしてくれる店員さんも、少々引き気味である。
散髪が終わって、マントみたいなものをはずしながら、店員さんが私に諭すように言った。
「暑いのなら、半袖を着たらどうです?」
先日も言われた言葉だ。「ひょっとして、半袖の存在をご存じないの?世の中には、半袖という便利なものがあるのよ」とでも言わんばかりの諭し方である。
半袖があることは、百も承知だ。しかし、衣替えといえば6月、という古い観念が残っている私は、5月に半袖を着る気にはなかなかなれないのである。
だがそうも言ってられなくなってきた。明日から半袖を着よう、と心に決める。
散髪屋を出て、大学構内の語学堂に向かう。
今日、新しいクラス分けの発表がある。
語学堂の1階のフロアーの柱に、誰が何級何班に所属するかが貼り出される。同時にそれは、上の級に上がれるかどうかの合格発表でもあるのだ。
数日前、扶余で、同じ境遇の研究者と語学堂の話で盛り上がった日の夜、夢に「粗忽者の先生」が出てきて、「この前の期末試験で、リスニングがとても悪かったので、次は上がれそうにないわね」と言われ、ハッとして目が覚めた。汗をびっしょりとかいていた。
そのことを思い出しながら、おそるおそる掲示を見ると、3級6班のところに、私の名前があった。
そしてその横にある、「奨学金授与者」の一覧を見ると、なんと2等(20万ウォン)のところに、私の名前があるではないか!
奨学金とは、以前にも書いたように、その学期で点数が優秀だった学生に贈られるものである。1等若干名に30万ウォン(約3万円)、2等若干名に20万ウォン(約2万円)、3等若干名に10万ウォン(約1万円)である。
2級で2等をとった人は、全体で2~30人くらいいる。上位4分の1くらいといったところか。わが班(2級4班)では、私のほかに、まじめ美人のル・ルさんと、素直で韓国語がよくできるポン・チョンチョンさんがもらっていた。
今学期は5日も休んだのに、なかなかの健闘ぶりであった、と自画自賛。
ボーッと掲示を見ていると、1階の事務室から、韓国語の授業をとりしきっているパク先生が出てきた。
「あら、キョスニム!奨学金はどうだった?」
「2等をもらいました」
「前回も奨学金をもらったわよね。すごいわね。この次も頑張りなさいよ」
と、事務室に戻っていかれた。
さて、気ままなひとり暮らしも今日で終わり。明日は仁川空港に妻を迎えに行って、6月からまた新しい3カ月がリセットされる。
はたして、新型インフルエンザが猛威をふるうこの時期、妻は無事入国できるのか?
いままでの気ままな生活に別れを告げ、生活サイクルはどうなるのか?
学会などで休みがちになるであろう、3級の授業にはついて行けるのか?
来週、私が討論者(コメント)として出席するシンポジウム。まだなんにも連絡が来ていないが、いつになったら連絡が来るのか?そしてコメントすべき発表者の原稿は、いつになったら送られてくるのか?
心配事は、とぎれなく続く。
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