「こんど」と「つぎ」
かなり前(たぶん私が学生時代)のことだが、東京の地下鉄のホームで、電車の出発の順番を知らせる表示に、「こんど」と「つぎ」というのがあった。今でもあるのだろうか。
たとえば、同じホームの右と左。どちらも同じ方向に行く電車が入るホームであるとする。右の1番線の電光掲示板には「こんど」、左の2番線の電光掲示板には「つぎ」と表示してある。
どちらのホームに入る電車が先に出発するか?
一瞬迷うが、語感からして「こんど」と書いてある方だろう。
ちょっとややこしい表示だな、と思っていたところ、同じ頃、テレビで笑福亭鶴瓶がこの話題をとりあげていた。タモリに向かって力説していたので、たぶん「笑っていいとも!」だったと思う。
「こんど」と「つぎ」、あれ、どっちが先でんねん。この前、東京の地下鉄に乗ろう思たら同じホームの両側に電車がとまっていて、片方に「こんど」、片方に「つぎ」と書いてあるんや。「つぎ」のが早いやろ、と思て乗ったら、「こんど」と書いてある方が先に行きよった。どないなってんねん!
タモリが「そんなこと、『こんど』と書いてある方が先に出発するに決まってるだろ」と突っぱねた口調で言うと、
いやいや、「つぎ会いましょう」というのと「こんど会いましょう」というのと、どっちが先に会いまんねん。「つぎ」の方でっしゃろ。「こんど」といわれると、ずっと先のことと思てまうやんか。
と鶴瓶が反論する。なるほど、物は言い様である。
大阪みたいに「先発」「次発」と書いてくれたら迷わへんのや!と鶴瓶は最後に力説した。
それからというもの、「こんど」「つぎ」という表示をあまり見なくなったので、やはり紛らわしいと思ってやめたのかも知れない。
韓国のバスに乗っていて、なぜかこの話を急に思い出した。
韓国のバスでは、必ず次のようなアナウンスが流れる。
「こんどの停留所は○○です。つぎの停留所は○○です」
ふだん何気なく聞いているこのアナウンスに、ある日突然気づかされる。
「あ、やっぱり、『こんど』の方が先なんだ…」
韓国語と日本語の語感が同じであることを痛感する。
鶴瓶師匠に言ってやりたかった。「韓国でも、『こんど』の方が先なんですよ」と。
この話、ビックリするくらい「どうでもいい話」だが、いま書かないと忘れてしまいそうなので、ここに書きとめておく。
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