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親族呼称と蒙古斑

6月2日(火)。3級の授業、2日目。

学期のはじめは、ペースがつかめないためにグッタリと疲れる。

「ペースがつかめない」というのは、新しい先生の話のペースに、なかなか乗れない、ということでもある。当然のことながら、授業の進め方や言葉づかいの癖は、先生ごとに異なるので、その先生の癖に慣れるまで、時間がかかるのである。前学期の、あれだけ早口でまくしたてていた「粗忽者の先生」のペースに、いつの間にかすっかりと慣れてしまい、心地よさすら感じていたことに気づく。

留学生たちとは、韓国語が話せるようになった分、以前よりもいくらか話をするようになった。

河南省出身のワン・ウィンチョ君は、茶髪でピアスをした、今どきの青年である。彼とははじめて同じクラスになったが、実は1級1班のときに一緒だったチャオ・ルーさんのナムジャ・チング(ボーイ・フレンド)だったので、顔だけは以前から知っていた。

遠くから見ていて、なんかチャラチャラした感じの青年だなあ、と思って見ていたが、実際に話をしてみると、けっこうな好青年である。

「どうして韓国に留学したの?」と聞くと、

「ヨジャ・チングのためです」と言う。ヨジャ・チングが韓国に留学する、というので、仕方なくついてきたのだというのだ。

そのチャオ・ルーさんは、一足先に大学生となった。ただ不思議なのは、韓国語が1級のレベルであったにも関わらず、よく大学に入学できたなあ、ということである。ちゃんとやっていけてるのだろうか。言葉で苦労しているのではないだろうか、と他人事ながら心配になる。

その点、ワン・ウィンチョ君は、着実に3級まで進んでおり、しかも前学期は奨学金ももらっていたという。今日のパダスギ(書き取り試験)も満点だった。

なんだ、かなりまじめなんじゃないか。今じゃ彼の方が、韓国語をまじめに勉強しているのではないだろうか。

その彼が、休み時間に話しかけてきた。

「日本語は、韓国語より難しいですか?」

「難しいと思うよ」

「昨日の夜、インターネットで日本語のサイトを見たんです。だけど難しくて全然わからなかった」

「でも漢字があるでしょう」

「漢字も中国と違って、難しいんです」

ここで休み時間が終わってしまったが、私の中で、すっかり好印象に変わった。やはり人間は、直接話してみるもんだね。

今日の後半の授業は、読解である。

毎回2つの文章を読むが、今回は、最初の文章が、親族呼称について。韓国の男性と結婚した日本人のミエコさんが、親戚の集まりで、自分がさまざまな呼ばれ方をしていることにとまどう、という話。自分を呼ぶ相手が、夫であるのか、姑であるのか、夫の兄弟であるのか、夫の兄弟の子どもであるのか、によって、呼称が異なるのである。日本にもさまざまな呼称があるので、なんとなく理解できる話ではあるが、実態は日本よりも複雑である。日本人の女性がとまどっている、という設定にしているのもよくわかる。

2つめの文章は、「蒙古斑」の話。蒙古斑は、中国・韓国・日本のいずれの赤ちゃんにもあるので、さほど珍しい話ではないが、欧米人から見ればめずらしいのだろう。例文は、韓国人の友達の赤ちゃんを見に行った欧米人の留学生が、おしりの蒙古斑を見て驚いた、という話。

その例文の中で、その赤ちゃんのお母さんが蒙古斑について説明するくだりがある。

「韓国では、子どもを授けるという『三神ハルモニ』という神様が、子どもが生まれてくるとき、『さあ、今から世界に出なさい!』と言って、おしりを叩くんです。それで、生まれてくるときに泣きながら出てきて、おしりに青いアザのような斑点ができるんです」

韓国に昔から言い伝えられている話を、へえ、と思いながら読み進める。

親族呼称と蒙古斑。いずれもものすごい細かいところを突いてくる話だが、2級までのような「食堂のメニューを縦読みして注文したために周りの人に笑われた」とか、「タクシーに乗ったがお金が足りなかった」とか、「電車に乗っていたら居眠りしてしまい、乗り過ごした!と思ったら実は乗り過ごしていなかった」といった、他愛もない文章とは明らかに違っている。

蒙古斑の文章を読んで、3級に進んだということを、ようやく実感した。

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