エッセイのすすめ
先日のタプサ(踏査)の後の夕食の際に、韓国の指導教授がおっしゃった。
「韓国語の文章を身につけようと思ったら、よいエッセイを読むのがよい」と。
そこで先生は、妻と私に、別々の本をお薦めになる。
まず妻には、女性の書いた文章ということで、チャン・ヨンヒという人の『サラ オン キジョク、サラ カル キゾク』(生きてきた奇跡、生きて行く奇跡)というエッセイ集を薦められる。著者のチャン・ヨンヒは、英文学者で翻訳家、エッセイストで、今年の5月に57歳で亡くなったという。韓国でもベストセラーになったエッセイ集である。
そして私には、男性の書いた文章ということで、ポプチョンという人のエッセイ集を読むことを薦められる。こちらも、ベストセラーのエッセイストだそうである。
さっそく、日曜日に本屋に買いに行く。紹介された2人のエッセイ集が、ベストセラーとして目立つところに並べられていた。
ところがこのポプチョンという人は、僧侶で、内容も、「生きていることに感謝」とか、法話的な文章を書く人のようなのである。
いくつかある著作のうちから、手頃なものとして買ったのが、『アルムダウン マムリ』(美しい結末)、邦題にしたら『大往生』といったところか。
短い文章を集めたものだが、最初のエッセイのタイトルが「老年の美しさ」とある。
どうも、人生の晩年を迎える人が読むエッセイのように思えてならない。人間の生き方について語っている法話集のようである。
それにしても、先生はなぜ私にこの人の本を読むように薦めたのだろう?妻に勧めた本の方がはるかに興味をひくのに。
ひごろ「仏教」とか「坊さん」に拒否反応を起こしている私としては、まず日本では絶対に手に取ることはないであろう種類の本である。
だが先生の薦めなので、致し方ない。少しずつ読み始めることにしよう。人生に対する考え方が変わるかも知れない。
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コメント
人の好みは違うと思いますが、私はポプチョン(法頂)スニム(お坊様)のエッセイが大好きです。ここ20年以上ハングルの本はほとんど読んでいませんが、もう30年以上経っているのでしょうか、大学時代に読んだポプチョンスニムの『無所有』というエッセイ集はとてもよかった、と思っています。
その当時、知人にその本を薦めて、貸しましたが、戻ってこなかったので、日本へ来るとき新しく購入して持ってきました。薄い文庫本ですが、今も私の本棚を飾っています。
投稿: ザウルス | 2009年6月17日 (水) 13時29分