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東アジアの片隅で、辛ラーメンをすする

語学教室は、東アジアの縮図である。

わが班の学生のほとんどが中国人、日本人は私1人、それに韓国人の先生。

そのまま、各国の人口比率をあらわしているようでもある。

「実は、日本語を勉強したいんです」と、ある時、中国人留学生は言った。

韓国語を媒介にして、中国人留学生に、日本語を教える。

ひらがなやカタカナの音をハングルに置き換えたり、言葉の意味を漢字に置き換えたり。

考えてみれば、奇妙な光景だ。

だが、東アジアの人間同士だからこそできることであるともいえる。

その、中国人留学生たちが、辛ラーメンをすする。

不思議なものだ。中国で生まれたラーメンが、日本でインスタントラーメンとして生まれ変わり、それが韓国に渡って、辛ラーメンとなる。

韓国で「ラーメン」と言えば、インスタントラーメンのことを指す。

食堂でラーメンを注文すると、インスタントラーメンが出てくる。

中国人留学生たちは、それを、美味しいと言いながら食べるのである。

これも、奇妙な光景である。

だが、これこそが、東アジア的世界ではないか?

そう。ラーメンの歩んだ道こそは、東アジア世界の本質を解く鍵である。

私は、辛ラーメンをすするたびに、東アジアに思いをいたすのである。

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