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マザー

6月14日(日)

久々の休日である。

Photo 明日、明後日と、語学の小試験が控えているので、試験勉強をしなければならないのだが、ひとつ、見ておきたい映画があった。ボン・ジュノ監督の「マザー」である。

ボン・ジュノ監督といえば、「殺人の追憶」「グエムル 漢江の怪物」などを監督した、韓国でもトップクラスの実力派監督である。この「マザー」も、今年度のカンヌ国際映画祭の公式招請作品となった。

といっても、私自身は、映画マニアではないのでよくわからない。唯一、この映画に出演しているウォン・ビンという俳優だけは知っていた。といっても、映画「ブラザー・フッド」に出ていた、ということと、日本の「トップアイドルグループ」の1人によく似ている、という情報くらいしか知らない。あ、あと、徴兵のために俳優業を休業していた、ということくらいか。

この映画は、彼の復帰第1作だという。そして、母親役は、キム・ヘジャというベテラン女優。失礼ながら、この女優についてはまったく知らなかった。だが韓国ではかなり有名な女優だそうである。

前回見た「コウモリ」に続き、海外でも高い評価を得た作品だという。タイトルから、母親と息子の物語だろうとなんとなく想像がつく。そしてポスターからは、なんとなく重苦しそうな内容であると予想される。

コメディ映画とは違い、言葉がわからないと内容が理解できないのではないか、と少々気がひけたが、妻がウォン・ビンをひいきにしていることもあり、見に行くことにする。

文字通り、母親の息子に対する強烈な愛が描かれた映画である。執念、といってもよい。

ストーリーも、重い内容である。「コウモリ」と並べられて紹介される理由もなんとなくわかる。

だが、言葉がよくわからないこともあったのかもしれないが、子を思う母親の執念に、いまひとつ入り込むことができなかった。どうしてだろう。

妻の情報によると、主役の母親を演じたキム・ヘジャは、それまでどちらかといえば上品な母親を演じることが多かったという。それがこの映画では、息子を救うためになりふりかまわず奔走する愚鈍な母親を演じている。映画のチラシにも、「キム・ヘジャの新境地」などと宣伝されている。

なるほど、たとえて言えば、上品な吉永小百合が、新境地と称して、それまでのイメージとは異なる汚れ役を演じるようなものか。なんとなく違和感を感じたのは、そのせいもあるのかも知れない。

そして、残念ながら、救いのなさ、後味の悪さを感じざるをえない内容である。いっそ、「コウモリ」のように、完全にアッチの世界にイッてしまっていればよいのだが、作品のもつ「常識性」や、キム・ヘジャの上品な演技が、それを妨げているようにも思える。

映像はたしかに凝っていてすばらしい。だが、日本を「代表」する撮影監督よろしく、「どうだ、美しいだろ」という主張がなんとなく見えてしまうのは、私の心が曲がっているからか?

うーむ。エラそうにいろいろとケチをつけてしまったな。それでも相当レベルの高い作品であることは間違いないのだが。

収穫は、田舎の生え抜き古参刑事を演じたユン・ジェムンである。以前に見た「影の殺人」で強烈な印象を残していたが、今回も、存在感と演技力でしっかりと脇を固めている。調べてみると、私とほぼ同世代なのね。ひそかに注目していこう。

ユ・ヘジンといい、どうも私は、私と同世代の「個性的な」脇役に、どうしても目が行ってしまうようである。

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