謎の料理教室
7月13日(月)
一昨日の3級6班親睦会で、ワン・ウィンチョ君が言った。
「韓国のしゃぶしゃぶより、中国のしゃぶしゃぶの方がずっと美味しいです。食べたことありますか?」
「いや、ないよ」
というか、しゃぶしゃぶはもともと日本の料理なんだけどな。
「じゃあ、こんどの月曜日、中国のしゃぶしゃぶの作り方を教えます」
そして今日。教室に行くと、ワン・ウィンチョ君が私のところにやって来た。
「これ、どうぞ。鍋にこれを入れて、肉と野菜を入れれば中国のしゃぶしゃぶになります」
どうもしゃぶしゃぶのスープの素のようなのだが、袋をみると「重慶火鍋」と書いてある。
そうか。中国式しゃぶしゃぶとは、激辛の火鍋のことか。
ありがたくいただく。今度家で作ってみよう。
さて、料理といえば、明後日(水曜日)に野外授業がある。今回は料理教室(韓国では料理学院という)に出かけて、料理の先生に教わりながら、みんなでプルコギを作るのだという。
これまでの野外授業は、文字通り外に出て遊ぶ遠足のようなものだったのだが、さすがにこの気候で野外に出たら、暑さで倒れる人が続出するだろう、ということで、屋内の料理教室で韓国料理の体験をすることになったらしい。
ただし、300人以上の学生がいっぺんに料理を作ることはできないので、今回の野外授業は、いくつかのグループに分け、日程を1日にせず、グループごとに別の日に行く、ということになった。
私としては、300人以上が一堂に会する野外授業が圧巻で好きだったのだが、今回ばかりは致し方ない。
数日前の授業のときに、先生がおっしゃった。
「必ず準備してほしいものがあります。頭に巻く手ぬぐいを必ず持ってきてください」
髪の毛が料理に落ちないように、頭に巻くためだという。
ずいぶん用心深い話だな。
4級にいる妻が、不審に思って、先生に聞いたそうだ。
「本当に必要なんですか?」
たしかに、そこまでする必要があるのか?とも思う。
「先生も本当に必要なのかな、と思って、料理教室の先生に聞いてみたんです。そしたら、『髪の毛が料理にはいるのは不潔だから、必ず用意するように』とのことでした。その先生は、テレビの料理番組にも出ている有名な先生らしくて、そういうところにかなり神経をとがらせてるみたいなのよね」と4級の先生はお答えになった。
へえ、そんなものなのかなあ。
そして今日。授業で野外授業の話題が出た。
そこで、驚くべき事実を知った。
先週の金曜日、1級の学生たちによる野外授業が、ひとあし早く行われたという。
「1級の人たちが、先週の金曜日、料理教室に行ったんですよ。誰か、その時の話を1級のチングから聞きましたかー?」と先生。
「はーい」と何人かが手をあげた。
「どうだった、て言ってましたか?」
「プルコギが不味かったって言ってました」「料理教室の先生が変だったって言ってました」と学生が答える。
どういうことだろう。
「先生も、その話聞きましたよ」と、先生はおもむろに話をはじめた。
「料理教室の先生が、黒板にチョークを使って料理法を書いて説明するんですよ。そしたら、そのチョークを持った手で、そのままプルコギの牛肉をたれにつけて揉んだりしたそうなんです!」
ちょっと待てよ。つまり、チョークの白い粉が手についたまま、お肉を揉んだ、ってことか?
「あと、黒板をふいたぞうきんでテーブルを拭いたりね」
どういうこっちゃ?
わが班の学生の何人かも、その話を聞いていたらしく、「オエーッ」みたいな感じになっている。
「だからみなさん。料理教室の先生が作った料理を食べてはダメよ。自分たちが作ったプルコギだけ食べなさいよー」
どんな料理教室やねん!
うーむ。それにしても不可解である。
髪の毛が落ちるのが不潔だから、絶対に頭に手ぬぐいを巻くように、と口うるさく言ってきた先生が、そんなやり方で料理を作っているとは…。
全然神経質じゃないじゃん!
果たして水曜日の野外授業はどうなるのか?わが班も、その先生に料理を習うのだろうか。
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