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特講、開始。

7月1日(水)

9月半ばに、韓国語能力試験(TOPIK)が行われる。

今学期から、その特別講座が、通常の授業とは別に、開かれるという。

7月1日から8月7日までの週3回、2時間の授業を、夜間(夜6時~8時)に行う。

受講料もそれほど高くないので、通常の授業の補講のつもりで、この機会に、妻と申し込むことにした。

今日はその初日である。

5時に通常の授業が終わり、6時に、再び語学堂の教室に向かう。

開講されるのは、中級クラスで、人数の関係から、2クラスに分かれる。

私と妻は、同じクラスだった。

教室に入ると、2級の時に同じ班だった、ル・ルさんやホ・ヤオロン君がいた。

だが、妻と同じクラス、というのは、どうしてもイヤである。妻も、同じ意見である。

そこで、教室に入ってきた先生に、「別のクラスにしてください」と、お願いする。

先生は、私たちのわがままなお願いをやや困ったように聞きながら、「もう一つのクラスの先生と相談してみます」と、教室を出ていかれた。

しばらくして戻ってくると、先生はおっしゃった。

「こちらのクラスは、中国とか、モンゴルとか、ロシアとか、日本とか、いろいろな国の人が集まってますけど、隣のクラスは、中国人留学生だけですよ。もしそれでもかまわなければ、移ってもかまいませんよ」

たしかに、このクラスは多国籍である。それに、妻のほかにも、もう1人、日本人学生がいる。

だが私はむしろ、ほかの日本人がいることに、なんとなく居心地の悪さを感じた。

「それでもかまいません」

と答えて、カバンを持って教室を出た。

「アンニョンハセヨ」

と言って、隣の教室に入る。

すると、なじみの顔が多くて、なぜか安心する。

3級6班のパンジャンニムことクォ・チエンさん、しっかりもので大人びているクォ・リウリンさん、まじめなリュ・リウチンさん。

2級4班の時の、ポン・チョンチョンさん、チエさん、リ・ペイシャン君、そして、ル・ルさんのナムジャチング(ボーイフレンド)のタン・シャオエイ君

みんなが、あたたかく迎えてくれたように思えた。

教室に入るなり、「ちょい悪オヤジ予備軍」ことタン・シャオエイ君が、「ヨギ、アンジュセヨ(ここに座ってください)」と、自分の隣の席を指さした。

どちらかと言えば、苦手なタイプで、なんとなく話しづらいやつなのだが、断り切れず、隣に座ることにする。

先生は、柳原可奈子に芸風と体型がそっくりのアン先生。はじめて習う先生である。先生が、みんなに私について質問する。

「みなさーん。キョスニムのこと、知ってますかー?」

「はーい」

教室にいた15人ほどの学生のほとんどが手をあげた。同じクラスになったことのない学生もいるにもかかわらず、である。

「あら、私よりも有名なんですね」と、アン先生。

いまや私は語学堂で、先生以上の有名人らしい。

だから、中国人留学生ばかりのクラスでも居心地がよいのだ。

クラスを替えてもらってよかった、と安堵する。

さて、授業が始まる。

アン先生の、柳原可奈子ばりの表情豊かな授業に笑いつつも、内容自体はかなりむずかしい。

学生も、ステップアップを目指そうとしている人たちばかりなので、みなまじめである。

2級の時には、先生を困らせてばかりいたタン・シャオエイ君も、隣の席でまじめに授業を聞いている。

まじめなル・ルさんとつきあうようになって、心を入れ替えたのだろうか。

彼らの成長する姿を見るのも、また楽し。

午後8時。2時間ぶっ通しの授業が終わり、さすがに疲れた。これから約1カ月、月・水・金には、通常の4時間の授業に加え、2時間の特講を受けることになる。

はたして、体力と精神力がもつだろうか。

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