カンニングはダメよ
7月14日(火)
中国人留学生たちの間では、カンニングに対するハードルが低い、ということは、ここで何度も書いてきた。
とくに、毎日授業の最初に行われるパダスギ(書き取り試験)は、かなりあからさまにカンニングが行われているようである。
「ようである」と書いたのは、私自身、パダスギの間は、解答用紙に向かって必死に書き取りをしている最中なので、周りの状況を見渡すことができないからである。
毎日行われるパダスギは、学期中に4回行われる「クイズ」や、2回行われる定期試験とは違って、席を離して座らせるなど、カンニング防止の対策が厳格にとられているわけではないので、どうしてもカンニングが横行してしまう。
ここ最近、私の隣に座っている、とある学生は、パダスギが始まる直前、自分が座っている机を私に近づけてくる。
午後1時の授業開始直前、教室に駆け込んで大汗をかいている私に近づくなんて、通常であればありえないことである。「そんなに暑いわけでもないのに、何でそんなに滝にうたれたような大汗をかいてるの?キモーイ」と思うのがふつうである。
先生が教室に入ってこられ、パダスギの試験が始まる。先生が読み上げる文章を、ハングルに起こしていく、という試験である。
先生の言葉を聞き漏らさずに書き取っていかなければならないのだから、周りなんかを見ている余裕はない。ひたすら解答用紙だけを見て書き続ける。
だがなぜか、横の方で視線を感じる。
じーっと、こちらを見ているような視線を感じるのである。ガン見、というやつである。
確かめることはできないのだが、視界の端には、眼鏡の柄の部分を指でつまみながら、じっくりこちらの書いているのを見ている姿がなんとなく見えるのである。
ま、こちらの思い過ごしかな。
だが、それは思い過ごしではなかった。
必死に書いていると、横の方から小声で、「その字、いりません、いりません」と聞こえてきた。
聞こえるがままに自分の書きとった文を見返すと、たしかに余計な字が1字混じっていた。あわててその文字を消す。
…ん?やっぱり見てたのかよ!
で、言われて書き直した私も同罪か?
その学生が、どうやら私の答案をガン見しているらしい、とわかったときから、なぜか私にはプレッシャーがかかった。
それは、満点を取らなければならない、というプレッシャーである。
カンニングした答案が間違いだった、なんてことになったら恥ずかしい。
だから、いつもより必死に勉強する。
おかげで、ここ最近のパダスギは、10点満点を連発している。
なんか、複雑な思いである。
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