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留学生模様

7月17日(金)

今日から月曜日まで、語学堂の授業がお休みである。4連休である。

懸案だった学会発表の原稿も、なんとかでっちあげて、つい先ほど、担当の先生に送信した。

つかの間の、解放感。

今日は少し、「こぼれ話(小ネタ)」をいくつか書いてみよう。

中国人留学生たちの行動や考え方は、見ていて本当に飽きない。そんな話をいくつか。

1.

私の隣の席に座っている、ある学生が、毎日のパダスギ(書き取り試験)で、私の答案をカンニングしている疑いがある、という話は前に書いた

昨日のパダスギ。例によって、隣の学生の視線を感じながら解答を終える。

採点されて、戻ってきた答案は、10点満点の9点だった。

そして隣の学生の戻ってきた答案をのぞくと、なんと10点満点をとっているではないか!

なんでまじめにとりくんだ私が9点で、私の答案をカンニングした(と思われる)学生が10点なんだ?

なんか腑に落ちない。

いや、その学生の実力でとった点数かも知れない、と、自分に言い聞かせた。

2.

日本語を勉強している、というワン・ウィンチョ君。大学入学が決まったようだ。

ヨジャ・チングのチャオ・ルーさんが通っている大学と同じ大学。

「学科はどこ?」と聞くと、「日本語学科です」と答えた。

ええぇぇ!わざわざ韓国に来てなんで日本語学科に行くんだ?

ワン・ウィンチョ君は、とてもまじめに韓国語を勉強している。成績もかなりよい。もっと上の大学をねらうこともできるのに。

はっきり言って、チャオ・ルーさんの通っている大学は、大学の規模も小さいし、それほど良い大学ではない。

「ヨジャ・チングのためです」と彼は言う。おそらく、ヨジャ・チングと同じ大学で、専攻を選ぶとすれば、日本語学科しかなかったのだろう。

せっかく韓国語をここまで勉強したのに、今度はいちから日本語を勉強するのか?

ヨジャ・チングのために、人生を棒にふるのか?君の実力なら、もっと高いところをねらえるんだぞ!

3,

チャン・チンさんは、どうやら私のファンのようである。

だが、彼女は私に「53歳ですか?」と質問したり、マラギの試験の練習に遅刻してきたりと、私の神経を逆なですることが多い。

さて、先日の料理教室でのことである。

料理が終わり、今度は礼儀作法を学ぶために、部屋を移動する。

「ハラボジ(おじいさん)」の家に挨拶に行く、という設定で、部屋の上座に料理が並べられた座卓が置かれている。その前に座布団が並べられていたので、私たちはその座布団に座って先生を待っていた。

例の先生が韓服を着て部屋に入ってこられた。

すると、先生は私を見つけ、あなた、ひとりだけ年をとっているんだから、前に座りなさい、と、料理が並べられている座卓のところに連れていかれた。

つまり、私は、ハラボジの役をやらされることになったのである。

中国人留学生たちからは、喝采の嵐。

そこから、次々とひどい目に遭うのだが…。それはまあよい。

私が上座に座ってしまったことで、写真が撮れなくなってしまった。そこで、近くにいたチャン・チンさんに私のカメラを渡して、「これで適当に撮ってくれ」とお願いしたのである。

チャン・チンさんは言われたとおりに、いろいろと写真を撮ってくれた。

15分くらいして、一段落して、カメラを返してもらったとき、チャン・チンさんが済まなそうな顔をして言った。

「すいません。カメラに入っているデータ、全部消しちゃったみたいです」

どういうことだ?

確かめてみると、チャン・チンさんが撮った分は残っている。だが、その前に私が料理教室で撮ったオモシロ写真は、全部消えてしまっている。

それに、チャン・チンさんが撮った写真は、(他人のことは言えないが)お世辞にも上手いものとはいえなかった。

ええぇぇぇ!どういうことだぁぁ!

せっかくの料理風景を撮ったものが、ぜんぶ消えてなくなってしまったのだ。

チャン・チンさんが済まなそうな顔をしているので、

「だ…、大丈夫だよ。心配しなさんな」

と言ってみたが、やはりこちらはショックである。

悪気がないのはわかっているが、どこまでも神経を逆なでする人だな、と思ってしまい、ますます溝が深まる。

それにしても、どこをどう操作して、自分が撮ったもの以外のデータを消去したのだろうか?間違った方向に器用な人だな。

4.

わが班における私の最大のライバルは、クォ・リウリンさんである。

大人びた、理知的な人で、韓国語の勉強も人一倍している。成績もかなりよい。

そのクォ・リウリンさんが、実は韓国人男性と結婚していた、という事実が発覚したのは、この学期がはじまって少したってからのことだった。

文法の授業中に、その事実が発覚する。

「みなさん。クォ・リウリンさんが結婚してた、てこと、知ってましたか?」先生が驚いた様子で学生に聞いた。

学生の多くは、知らなかった、と答えた。

「別に隠していたわけじゃありません」と彼女は言った。

しかし、いつもなら、みんなが真っ先にそのネタを授業中に持ち出したりするはずなのに、なぜか、クォ・リウリンさんの「結婚ネタ」は、授業でほとんど触れられることがない。

本人も、そのことをほとんど口にしない。

アンタッチャブルな話題なのか?

ある日、授業が終わって語学堂の建物を出ると、建物の前に黒塗りの車が止まっていた。車体も真っ黒。そして、窓も全面にスモークフィルムが貼られている。いわゆる「フルスモーク」というやつである。

するとその車に、クォ・リウリンさんが近づき、助手席のドアを開けて、車に乗った。

車はものすごい勢いで走って行く。

あぁ、クォ・リウリンさんのナムピョン(夫)の車か。クォ・リウリンさんを迎えに来たんだな。

それにしても、むちゃくちゃアヤシすぎる車だった。

そして先日。授業開始前に教室に入ると、クォ・リウリンさんが、韓国語で電話をしていた。

「宿題を家において来ちゃったから持ってきて。テーブルの上にあるはず。1時50分までに持ってきてね」と言っている。

ナムピョンに電話しているんだな、ということはすぐにわかった。

そして宿題を受けとり、無事提出したようである。

待てよ。この昼の日中に、家においてきた宿題を届けに来られる、ということは、ナムピョンは昼間は家にいるのだろうか?

うーむ。クォ・リウリンさんのナムピョン、て、どんな人なんだろう。

そして、どこで知り合って、どういういきさつで結婚したのだろう?

聞いてみたい気もするが、恐くて、ちょっと聞けそうにない。

ただひとつ言えるのは、彼女が韓国語の実力が高いのは、やはりナムピョンのおかげだろう、ということである。

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