7時間耐久授業
7月22日(水)
明日から2日間、学会の夏期合宿に参加するため、明日と明後日は語学の授業をお休みする。
ところが、明日は授業時間内にスギ(作文)の試験があり、受けることができない。
マラギ(会話表現)の先生に事情を説明したところ、「では前日の水曜日の、授業終了後に試験を振り替えましょう」ということになった。
1時から5時までは3級の通常の授業が行われているが、そのあと、さらに私だけ残って作文の試験を受けることになった。
そして、1時間の試験時間が終わったあと、6時から2時間、TOPIK(韓国語能力試験)の特講を受ける。
結局、1時から8時まで、7時間ぶっ通しで授業を受けたことになる。
しかも、今日の後半のマラギ(会話表現)の授業は、マラギの試験であった。
例によって、パートナーと2人で、与えられたテーマにしたがって3分程度の会話を作りあげていく、というもの。
試験のお題は、以前に授業でやったところから出るので、ある程度予想することができる。
前日、試験に出そうなテーマについて、片っ端から会話の完全台本を作った。
そして当日の休み時間、その完全台本を見ながら試験準備をしていると、先生が近づいてきて、私の作った完全台本に気づいた。
先生はあきれたような顔で、「マラギの試験なんですから、(完全台本なんて書かずに)チングと会話の練習をしなきゃダメですよ!」とたしなめる。
正論である。だが、その肝心の、今回のパートナーであるチョン・ヤッポ君が欠席しているので、練習することもできない。
急遽、パンジャンニム(班長殿)ことクォ・チエンさんとペアになることになった。クォ・チエンさんは、リュ・リンチンさんともペアを組むので、2回試験を受けることになる。
そして試験開始。出されたテーマは、「修理センターの職員とお客さんの電話での会話」。
電気製品が壊れたので、客が修理センターに電話して、故障した内容の説明や、修理の依頼をする、という会話である。
パソコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、DVDプレーヤーの中から、壊れた電気製品をくじで決める。
私の組は5番目。くじを引くと、「テレビ」が出た。テレビの故障について、会話しなければならない。
最初の数分で、パートナーと小声で打ち合わせをする。「テレビ」のどこが壊れたとか、何時に修理に来てもらうとか、会話の組み立てを打ち合わせするのである。漫才でいうところの「ネタ合わせ」である。
「どこが壊れたことにする?」「画面が急に真っ黒になったとかは?」「いいね。それと、チャンネルが動かなくなったとか」「うん、その2つにしよう」といった感じである。
「ネタ合わせ」が終わると、いよいよ試験の開始である。先生やほかのチングが聞いている前で、「修理センターの職員と客の会話」を、作りあげてゆく。
私の組は、なんとか無事終わった。
さて、最後の組の時、事件が起こった。
クォ・チエンさんとリュ・リンチンさんのペア。引いたくじは「冷蔵庫」だった。
さっそく小声で2人の打ち合わせがはじまる。私は前の方の席だったので、彼女たちの小声の打ち合わせが、耳に入ってきた。
「どこが壊れたことにする?」「電気がつかなくなった、てのはどう?」「あと1つは?」「変な音が鳴る、にしよう」
いよいよ、会話の開始。
「こちらは○○修理センターです。どうしましたか」
「冷蔵庫が壊れたので電話しました」
「どうなさったのですか?」
「昨日までは大丈夫だったんですけど、今日になって故障したらしいんです」
「具体的には、どこがどう故障したんでしょうか」
「電気がつかなくなりました」
ブッ!
?
何だ?いまの音は?
どうも、居眠りしていた某君が、放屁したらしい。
居眠りしていて、お尻の穴がゆるんでいたのか?
みんながその音に気づき、いっせいに大爆笑する。
「いいから会話を続けなさい!」と先生。
2人は笑いをこらえながらも、会話を続ける。
「ほかに故障したところはありますか?」
「変な音が出るんです」
たしかにいま、変な音が出たよな。
だが、これはアドリブのセリフではない。彼女たちが「ネタ合わせ」で考えてきたセリフである。
そのセリフの絶妙のタイミングに、一同はまたもや爆笑。
爆笑のうちに試験が終了。
すべてが終わって、先生が聞いた。
「さっき、変な音を出した人がいましたねえ。誰が出したんですか?!」
するとみんなが答えた。
「冷蔵庫でーす!」
かくして、緊張感のないマラギの試験は、終了した。
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