テレビ通販番組を作ろう
7月29日(水)
後半のマラギ(会話表現)の授業。
「今日はみなさんに広告文を作ってもらいまーす」と先生。
4人が1組になって、架空の新製品なり、観光地なりの広告を作って、発表してもらう、というもの。商品の選択から、宣伝文句まで、すべてグループで話し合って決めなければならない。それを、テレビの通販番組のような感じで、みんなの前で広告するのである。
私は、白縁眼鏡の好青年・ル・タオ君、韓国人男性と結婚しているクォ・リウリンさん、おとなしい好青年・リン・チアン君とグループになった。
さて、どんな商品を広告しようか。
しばらくみんなで考えていると、クォ・リウリンさんが、「毛生え薬!」と言った。
ずいぶんと思いきった商品を考えついたものだ。
クォ・リウリンさんがあまりに強く主張するので、結局「毛生え薬」の広告に決定。
「商品名も重要ですよ。インパクトのある商品名にしないと」と先生。
こういうことにかけては、私の感性も負けてはいない。
しばらく考えて、商品名が思いついた。
「モリ エ ポム!」
「モリ」は頭。「ポム」は春。直訳すると、「頭の春」
すると、近くで聞いていた先生が大爆笑した。
「『モリ エ ポム』、いいですねえ」と先生。
韓国語の語感として、かなりインパクトがある商品名のようだ。
これで商品名が決定。
以下、この架空の毛生え薬の特徴や効能をみんなで話し合って決めてゆく。そして、CMの流れを考える。
ル・タオ君が、ディレクターよろしく、CMの構成を考える。
「まず僕が最初に、朝起きて、毛がごっそり抜けてビックリする、という芝居をします。そこでキョスニムが出てきて、薬の説明をしてください。次に、リン・チアン君が薬を飲む前とあととで、効果がこんなに違う、という説明をしてください」
「具体的にどういうふうにすればいいの?」
「僕の短い頭が使用前、クォ・リウリンさんの長い髪を使用後、ということで、『薬を飲むと、数日でこんなになります』と、説明すればいいです」
なるほど。うまいこと考えるものだ。
「で、最後にまたキョスニムが、購入方法の説明をして終わりです」
打ち合わせが終わり、みんなの前で発表することになった。
最初は、寝ていたル・タオ君が起き上がり、髪がごっそり抜けていることに気づいてビックリするシーン。
「うぁぁぁぁぁぁー!」ル・タオ君が迫真の演技をする。
そこで私が登場。
「みなさんも、こんな経験をしたことはありませんか?そんなあなたに、とってもよい薬が出ました。その名も、『モリ エ ポム』!」
商品名を聞いた先生が再び大爆笑する。
すかさず私は、ポケットに入っていた、持病の痛風の薬をとりだして、それを「モリ エ ポム」に見立てて説明する。ここは私のアドリブである。
「この薬を1錠飲むだけで十分。副作用もありません」などと、商品の効能や特徴を説明する。
そして今度は、リン・チアン君にバトンタッチ。
ル・タオ君と、クォ・リウリンさんが、すでにみんなに後頭部を向けて立っている。
「この薬を1錠飲めば、この短い頭が(と、ル・タオ君の頭を指さす)、数日後にはこうなります!(と、今度はクォ・リウリンさんの長い髪をさす)」
いわゆる「使用前、使用後」の説明である。
なるほど、それで2人は後ろ向きで立っていたのか、ということに気づいた観客のチングたちは、爆笑した。
そして、最後に再び私による説明。
「うーむ。本当に『頭』に『春』が来ましたねえ。商品ご希望の方は今すぐお電話ください。いま電話された方には、もう1セットをプレゼント!人気商品なので、売り切れる可能性があるので、早くお電話ください!電話番号は、○○○ー○○○○」
かくして、『モリ エ ポム』のテレビ通販番組は、大爆笑のうちに終了した。
わずか10分程度の打ち合わせで、中国人と日本人が、韓国語で作った広告。
即興にしては、なかなかのものではないか。
そして授業の終わり際に先生は、「『モリ エ ポム』、いいですねえ。気に入りました」といって、「モリ エ ポム」の商品名をくり返し口にしたのであった。
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