3級6班の人びと
7月2日(木)
ワン・ウィチョン君(ワン・ウィンチョ君ではない)が、久しぶりに授業にあらわれる。
3級を何度も経験している「ベテラン」で、もういいかげん大学入学を決めなければあとがないらしい。
授業開始直前、その彼が、手ぶらで教室に入ってきた。
教室の中にある、テレビの置いてあるところまで行き、(観音開きになっている)テレビ台の扉を開けて、テキストをとりだした。
自分のテキストを、家に持ち帰らず、教室のテレビ台の中に保管していたのである。
そういえば、高校時代、教科書を教室に起きっぱなしにしているやついたな。
「そんな人、うちの班にもたくさんいるよ」と妻。
今や教室のテレビ台は、テキストの保管場所となっているようだ。
そればかりではない。妻の班(クラス)では、授業の休み時間に、カップラーメンを作って食べる人がいるという。
1時間目の休み時間(10分間)に、カップラーメンを買いに行く。
2時間目の休み時間(10分間)に、今度はそのカップラーメンにお湯を入れる。
ところが、わずか10分ではカップラーメンを食べ切ることができない。
そこで、授業が始まると、その食べかけのカップラーメンをテレビ台の中にひとまず入れて、3時間の休み時間に取りだして再び残りを食べる、というのである。
そんなことをしたら、麺が完全に伸びちゃうじゃないか、と思ってしまうのだが、彼らはあまり気にしないらしい。
妻の班は午前中の授業なので、さしずめ「早弁」というやつだろう。私も高校時代に経験があるので、気持ちはよくわかる。
いまや学生にとってテレビ台の中は、便利な保管庫である。それを知った先生は学生たちに、「もっと大きいテレビ台を買いましょうか?」と、苦笑しつつ冗談を言ったという。
さて、後半の授業。
2回目のスギ(作文)の試験。例によって、まずグループに分かれて、与えられたテーマについて、話し合いを行う。
今回の作文のテーマは、「友達と一緒にルームシェアすること」についてである。
ルームシェアの、良い点と悪い点をあげて、それを書き出してゆく。
リュ・ジュインティンさんは、とてもまじめだが、ちょっとどこかがズレている。
そこがなかなか面白くて、つい観察してしまうのだが、今回は同じグループになった。
ルームシェアの悪い点、について、リュ・ジュインティンさんが提案する。
「部屋のお金を、みんなで分けて支払うことです」という。
「え、それって、良い点じゃないの?」私はビックリして聞いた。
部屋代や公共料金を折半するのだから、ひとりで暮らすよりはお金がかからないことになる。というか、ルームシェアの一番のよさって、そこなんじゃないの?と思ったのである。
「でも、不公平になるじゃないですか」と、リュ・ジュインティンさんが、大まじめに反論する。
「たとえば、全部で部屋代と公共料金が1カ月30万ウォンかかったとしますよね。それを、一緒に住んでいる4人で分けて、1人10万ウォンずつ払うとすると、1人払わなくて済む人が出てくるじゃないですか。だから、どうしても不公平になってしまうんです」
??????
よくわからない理屈だ。
そんなもん、公平に負担する方法なんて、いくらでもあるだろ!と思ってしまうのだが、なんと返答してよいかわからない。
すると、隣で聞いていたリン・チアン君が反論する。
「ボクも友達と住んでますけど、みんな同じ額を集めて支払いをして、余った分は、次にまわしたり、一緒に食事するときに使ったりしていますよ」
そうそう、そういうことだよ。
リュ・ジュインティンさんは、まだ納得しない様子で、首をかしげている。
リュ・ジュインティンさんは、とんでもない理屈を駆使して、「ルームシェアの悪い点は、友達と一緒に部屋代を負担することです」と、作文に書いてしまうんだろうか。
うーむ。グループ学習って、本当に難しい。
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