なじみの喫茶店
8月5日(水)
このところ、相変わらず夜8時まで語学の授業があるので、夕食はどうしても外食となる。
夕食を済ませたあと、喫茶店で夜11時頃まで勉強するのが日課である。
家の近くの喫茶店と、語学堂の近くの喫茶店によく行く、という話は、前に書いた。
最近は、もっぱら語学堂の近くの喫茶店に通っている。
妻は、どうも家の近くの喫茶店の店長が苦手らしい。ちょっと胡散臭そうなオヤジなのである。
語学堂の近くのコーヒーショップは、大手チェーン店ということもあって、若い人が接客にあたっている。
店員は、3人である。私が勝手に「若い店長」と思いこんでいる人と、その人よりさらに若い、アルバイトらしき男性店員、それに、やはりアルバイトらしき女性店員である。私たちが行くと、いつもこの3人がいる。この3人は、私たちの顔を完全に覚えている。
昨日のことである。
例によって、「アイスアメリカーノ」を、レジで注文すると、若い店長らしき人が、「ちょっとおたずねしてもいいですか?」と聞いてきた。
「『ここでお飲みになりますか』は、韓国語でなんと言うんですか?」
おかしな話である。その若き店長は、日本語ではっきりと「ここでお飲みになりますか?」と言ったあと、これを韓国語で言うとどうなりますか、と、韓国語で聞いてきたのである。
ふつう逆だろう。「『ここでお飲みになりますか?(韓国語)』を、日本語でなんと言うんですか?」と聞くならわかる。
「『トゥシゴ カシゲッスムニカ?』です」と、私は答えた。(あんたがいつも言ってるセリフじゃん)と心の中で思いつつ。
「なるほど」と、その「若い店長」はうなずいたあと、また続けた。
「じゃあ、『おかけになってお待ちください』は、韓国語でなんと言うんですか?」
また、はっきりと日本語で「おかけになってお待ちください」と言った。
「『アンジャソ キダリシプシオ』です」と、また私が答える。
何なんだこれは?私が韓国語をどのくらいできるのか、テストされているのか?
「若い店長」が続ける。
「実は、以前、5年ほどソウルの明洞(ミョンドン)の喫茶店で働いていたことがあるんです。明洞には、日本人のお客様がたくさんいらっしゃるので、日本語の挨拶を教えられたんです。でも、今となっては、どの挨拶がどの意味なんだかわからなくなってしまって…」
なるほど。以前、ソウルの明洞の喫茶店で、「ここでお飲みになりますか」とか、「おかけになってお待ちください」という日本語のフレーズを、たたき込まれたのであろう。ところが、今となっては、そのフレーズだけはよく覚えていて、その意味を、すっかりと忘れてしまった、というわけである。
ずっとそのことが気になっていた「若い店長」は、日本人のなじみの客が来た、ということで、このモヤモヤした記憶をいつかハッキリさせよう、と思ったのであろう。
ところで私は、その「若い店長」が「ちょっとおたずねしてもいいですか?」と聞いてきた瞬間、ちょっとドキリとした。
ひょっとして、「じつは探している日本人がいるんです」と、また人捜しを頼まれるのではないか、と、思わず身構えたのである。
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