慶州南山・2日間完全制覇 ~高所恐怖症と汗と扁平足~
「南山を見ずして慶州を語るなかれ」
という言葉があるのかどうかはわからないが、慶州の南に位置する南山(ナムサン)は、韓国屈指の石仏群が点在する、仏教美術の宝庫である。古都・新羅の時代から、多くの人びとの信仰を集めてきた。
しかしながら、いままでなかなか訪れる機会がなかった。
日本の友人が、以前から念願だった南山の登山をしに慶州に来る、というので、私たち夫婦も南山登山にご一緒させてもらうことにした。
主要な石仏を見てまわるのに、2日は必要だろうという。8月28日、29日の2日間、万全の態勢でのぞむ。
地図を見ると、最も高いところでも標高は400メートルくらいである。高尾山くらいの感じかなあ、と高をくくっていたが、とんでもない話だった。
石仏が広い南山一体に点在しているため、起伏の多い岩場の道を歩き続けなければならない。しかも、磨崖仏が絶壁に描かれていることが多く、ところどころ、細い岩場を、足をすべらさないように注意しながら、ソローリソローリと歩く。
苦労してたどり着いた甲斐もあって、絶景といえる眺めなのだが、高所恐怖症の人は、まずたどり着くことはできないだろう。かくいう私も、若干の高所恐怖症持ちなので、絶壁の恐怖が今でもよみがえってくる。
石塔が立っている崖の下には、仏像があるというので、さらに崖の下に降りて仏像を見る。
ロッククライミングよろしく、岩をよじ登ってもとの場所に戻る。
南山は私にとって、高所恐怖症との戦いばかりではなく、「汗」との戦いでもあった。
すでにここで何度も書いているように、私は無類の汗かきである。山道を歩けば、当然、滝のような汗が噴き出てきて、あっという間に、「水をかぶった人」みたいになってしまう。
よせばいいのにグレーのTシャツを着ていたので、リトマス試験紙のように、Tシャツの色が首から下に向かって変化していくのがわかる。やがて、そのTシャツも、1色に塗り替えられる。
必然的に、水分補給が欠かせないことになるのだが、南山は、一度入山してしまうと、水場が全くなく、途中で水分補給する機会がないのである。そのため、あらかじめ水を持って入山しなければならない。
朝、500ミリリットルのペットボトルを3本持って上がったが、私のかく汗の量にくらべれば、焼け石に水である。
それに、がぶがぶと水を飲むわけにはいかない。限られた水を、大切に飲まなければならないのである。
たちまち、「飲み水のない不安」に襲われる。登山中は、この不安との戦いでもある。
まったく、無駄に汗をかいて、その分の水を補給しなければならないのだから、まるで私の体は汗を作る機械。つまりは単なる「作汗機」である。なんとも面倒な体質である。
加えて、山道を歩くには向かない「扁平足」ときたもんだ。
何度もくじけそうになりながら、他の2人の後を、かなりおくれてついていく。
そして膝がガクガクになりながら、ようやくゴール!
2日間、朝の9時から夕方の5時まで、歩き続けた!
おかげで、主要な仏教芸術を、ほぼ見ることができた!
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