映画に逃避する
9月12日(土)
明日は、Topik(韓国語能力試験)。
試験対策をしなければならないのだが、勉強をやる気がまったく起きない。
妻は余裕しゃくしゃくのようで、市内に出て映画を見に行くという。
私も、家で無為に過ごすよりはマシかと思い、一緒に映画を見に行くことにする。
見た映画は、先日公開されたばかりの「イテウォン殺人事件」である。
「イテウォン(梨泰院)」とは、ソウルにある町の名前である。1997年4月、イテウォンにあるハンバーガーショップのトイレで、何の罪もない大学生が無惨に殺されるという事件があった。この映画は、実際に起こったこの未解決事件をもとにした映画である。
実際の事件をもとにした映画としては、これまで「殺人の追憶」(未見)や「クノム モクソリ(あいつの声)」といったものがあるが、この映画も、その流れに位置づけられるものであろう。
さて、この事件の容疑者として、2人の韓国系米国人が浮かび上がる。ところがこの2人は、殺したのは自分ではなく、もう1人の方だと言って、罪をなすりつけ合う。どちらかが殺したことは確実なのだが、互いの供述は食い違い、その争いは法廷の場に移る。
言ってみれば、黒澤明監督の「羅生門」のような展開を思わせる映画であり、映画的手法の一類型ともいえるものだろう。
だが、演出意図が不明なシーンも多く、いまひとつ映画に乗ることができなかったのが、やや残念だった。苦悩する検事役を務めたチョン・ジニョンは、佇まいはシブいのだが、芝居が一本調子のような気がしたのも、気になった。
理不尽な未解決事件となってしまった後味の悪さも残る。
ただ、米軍基地の町であるイテウォンが複雑な事情を抱えていて、それが事件の背景となっていることなど、考えさせられることは多い。
それにしても、当事者(被害者の遺族など)がまだ生々しい記憶を残している中で、こういった映画が作られるというのは、やはり驚きである。
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