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消えた作文

9月17日(木)

この話の登場人物は2人。

ひとりは、後半の授業のマラギ(会話表現)の先生。

マラギの先生は、よくモノをなくす人のようである。

韓国語風にいえば、「よくモノをなくす方の人」である。

たとえば、宿題の作文を書いてもらうための紙の束を教員室の自分の机に置いておいたはずなのに、それがいつの間にかなくなってしまった、ということで、「宿題は、紙ではなくてノートに書いて提出してください」ということがあった。

ご自身の教科書をどこかに置いてきてしまったこともある。

ま、私も他人のことはいえないので、責めることはできないのだが。

もうひとりの登場人物は、パンジャンニム(班長殿)ことロン・チョン君。

前学期に続き再び4級の授業を受けているベテラン。年齢も、ほかの中国人留学生たちよりも、やや上である。

だが、このパンジャンニム、いささか頼りない、ということは、前にも書いた

授業はいつも遅れてくるので、本来、パンジャンニムがやらなければならない仕事(宿題をみんなから集めて提出したり、先生に添削された宿題をみんなに返したりする仕事)が滞りがちである。

本当に宿題は先生に提出してくれるのだろうか、とか、宿題のノートをちゃんと返してくれるのだろうか、とか、いつもヒヤヒヤした気持ちになる。

結局、パンジャンニムを介さずに、先生が直接宿題を集めてもっていったり、前日の宿題のノートをみんなに返したり、ということがよくある。

さて、先週、スギ(作文)の宿題が出された。お題は、「自分の国の、動物が出てくる建国神話について紹介する」というもの。

日本で、動物が出てくる神話といえば、「因幡の白ウサギ」か「八岐大蛇」の話くらいしか思い浮かばない。「因幡の白ウサギ」は、前学期、妻が4級の授業の宿題で書いたことがある、というので、同じものにするのもどうかと思い、「八岐大蛇」の話を書くことにした。

600字という制限字数の中で、けっこう面白く書けた、と思って提出したのだが、その宿題が、今日になっても戻ってこない。

こっちもせっかく頑張って書いたのだから、添削されたものを返してもらいたいなあ、と思い、今日の休み時間に、思いきって先生に「先週の作文の宿題、まだ返してもらってないのですけれど」と聞いてみた。

「え?受け取ってないの?教員室の私の机の上に置いて、パンジャンニムに持って行ってもらったと思っていたんだけれど」

「いえ、返してもらってません。ひょっとして、返してもらってないのは私だけでしょうか?」

他の人にも聞いてみると、他の人も、返してもらっていない、という。宿題の作文を書いた紙は、ごっそりとどこかへ行ってしまったようだ。

休み時間が終わり、授業が始まる。例によってパンジャンニムが、教室に遅れて戻ってきた。

戻ってくるなり、先生はパンジャンニムに大きな声でたずねた。

「パンジャン!先週の作文の宿題は、みんなにちゃんと返したの?」

「え?返しましたよ。何のことです?」

「『動物の神話』についての作文よ。みんな、受け取ってない、て言ってるわよ」

「おかしいな。返したはずなんだけどな」

「先生の机の上に置いてあったでしょう。持って行かなかったの?」

「先生の机はいつも確認してますよ」

「おかしいじゃないの。じゃあ、どこへ消えたっていうの?」

「ボクのせいじゃありませんよ」

ここまでのやりとりを聞いて、はて、と考える。

ものをなくすことが多い先生と、みんなの宿題を回収したり返却したりするのがけっこういい加減なパンジャンニム。はたして、どちらのせいで、この宿題紛失事件が起こったのか?

いずれにしても危なっかしくて、これからはこちらが目を光らせていかないと、このような事件が再発するだろう。

「わかりました。もう一度私の机を探してみます」と先生。

授業が始まる。

「今から時間をあげますから、教科書の復習問題を解いてみましょう」と先生。

私は、昨日、すでにその部分を解いてしまっていた。

みんなが必死に解いている中、私だけは手持ち無沙汰である。

そのことに気づいた先生が近づいてきた。

「あら、キョスニム!もう解いてしまったの?」

「いえ、昨日すでに予習してしまいました」

そう答えると、隣に座っていたパンジャンニムことロン・チョン君が、口をはさんだ。

「その教科書、ひょっとして、前学期の奥さんの教科書じゃないでしょうね」

前学期も4級のクラスにいたパンジャンニムは、私の妻のことをよく知っていたので、からかうように私にそう言ったのである。

私が反論する。

「違うよ!ほら、ここを見てごらんよ。私の名前が書いてあるだろう!」

すると、先生も一緒になって反論した。

「そうですよ。だって書いてある字の雰囲気が全然違うでしょう。奥さんは、ワープロで打ち出したみたいに、すごくきれいな字だったんだから。すぐわかるわよ」

先生も、やはり前学期、妻の班で教えていたので、妻の書く字をよく知っていたのである。

でも、これって、間接的に私の字が汚いことをバカにしていることにならないか?

どちらが真犯人かわからないが、私をからかうヒマがあったら、早く作文の宿題を返してくれよ!

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