映画3連発
9月1日(火)
夜、家で韓国映画のビデオを3本見る。
まず、「その時、その人々」(邦題「ユゴ 大統領有故」)。1979年10月26日に起こったパク・チョンヒ大統領の暗殺事件を描いた映画である。
以前、日本で公開されたときに見逃してしまったため、見ることにした。
言葉がわかりにくいのに加えて、歴史的背景も深く勉強しないまま見たので、よくわからないところも多い。
だがこの映画は、大統領暗殺事件の真実を描く、といったような歴史上の関心で見るべき映画ではないことに、なんとなく気づく。
1979年10月26日における、大統領を暗殺するまでの犯人の心理や行動、そして暗殺された後の周囲の人々の反応などが、ときにコミカルに描かれる。
そう、これは原題の通り、1979年10月26日の「その時」の「その人々」の様子を描いたものなのである。
たとえていえば、1945年8月15日の1日を描いた岡本喜八監督の映画「日本の一番長い日」のようなテイスト、といったらよいか。
そう思いながら、何度かくり返し見れば、よくわからなかったシーンも、わかるようになるかも知れない。
2本目は、ソン・ガンホ主演の「優雅な世界」。主演がソン・ガンホである、という理由だけで見ることにした。
ソン・ガンホ演ずるダメ人間ぶり、ダメお父さんぶりが、実によい。
かねて私は、韓国版「男はつらいよ」を作るとしたら、ソン・ガンホしかいないのではないか、と思っていた。やくざな稼業につき、人はよいものの、やることなすこと裏目に出てしまうところや、家族にいいところを見せようと見栄をはるところなどは、まさに「寅さん」のテイストである。この映画の随所に、それを思わせるところがあるのである。
ただし、映画の内容自体は、「寅さん」のようなほのぼのとしたものではないことに注意。
3本目は、パク・チュンフン、アン・ソンギ主演の「ラジオスター」
かつて一世を風靡したミュージシャン(パク・チュンフン)は、麻薬で逮捕されたり、暴力事件に巻き込まれたりして、今ではすっかり落ちぶれていた。ふとしたきっかけから、とある田舎町のラジオ放送のDJをつとめることになるのだが、いまだにスターとしてのプライドが高い彼は、まったくやる気を起こさない。20年もの間、彼を支えてきたマネージャー(アン・ソンギ)は、再起をかけて、彼になんとかやる気を起こさせようと奔走する。やがて小さな奇跡が起こり、彼はラジオDJの面白さに目覚めるのだが…。
ラジオが人々の心を結びつける、という、私のラジオ願望を満たす映画であるとともに、当初はまったくやる気のなかった人々が、結束してよいものを作りあげていく、という群像劇として、とても後味がよい。我田引水な解釈でいえば、「高原へいらっしゃい」とか「王様のレストラン」のようなテイストといえるだろう。私の最も好きなジャンルの映画である。
ふだん大統領とか英雄の役をやることの多い「国民的俳優」ことアン・ソンギが、冴えない芸能マネージャーに扮しているのも注目されるが、一方のパク・チュンフンも、こういう屈折した役を演じさせるととてもよいね。佳品である。
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