わが班の政権交代
9月18日(金)
先週提出した「動物神話」の作文が、ようやく返ってきた。よって、昨日の「宿題紛失事件」はこれで解決した。
しかし、この事件がきっかけとなって、パンジャンニム(班長殿)ことロン・チョン君の処遇が問題となった。
ロン・チョン君は、今日も遅刻してきた。くり返すが、パンジャンニムは、わが班の学生の宿題のノートを集めて教員室の先生の机に提出し、それとひきかえに、昨日提出して先生が添削した宿題のノートを、先生の机から受け取って、わが班の学生に返却しなければならない。この一連の作業を、授業が始まる前に済ませておかなければならないのである。
もう一つ、先生が授業で使用するカセットデッキも、授業が始まる前にあらかじめ教室に運んでこなければならない。
だからパンジャンニムは、何としても授業が始まる前に、みんなよりも早く来なければならないのである。
毎学期の開講式で、前学期に各班の班長を務めた学生が全員、「模範生」として表彰されるのも、その意味からである。
しかし、わが班のパンジャンニムは、今日も遅刻してきた。
どうもいろいろと聞いてみると、パンジャンニムが4級をダブったのは、毎日授業を遅刻してきて、授業の最初に行われる「パダスギ」(書き取り試験)を受けられなかったためだという。
パダスギが終わった後に教室に入ってくるのは、今学期も同じである。そうか。遅刻癖は、今に始まったことではないのか。
なのになぜ、彼は自らパンジャンニムに立候補したのだろう?まったく理解ができない。
みんなより少し年上だからだろうか?4級が2回目のベテランだからだろうか?
たしかに、中国人留学生たちにとっては、少し年上の「お兄さんキャラ」である。だからこそ、彼が立候補したときも、誰も反対できなかったのだろう。
それは、先生も同じだっただろう。せっかく立候補した学生に向かって、「あなたはダメです」とは、絶対に言えない。それが年上ということになれば、なおさら顔をつぶすことはできない。
しかし、結果的に、トラブルが続くことになってしまった。
文法の先生が、パンジャンニムにさりげなく説得する。
「宿題をみんなに早く返してあげないと、みんなにとってもよくないでしょう。ロン・チョン君だって、パンジャンニムだということに対してストレスがたまってるんだと思うわ。パンジャンニムの仕事が大変だったら、他の人に変わってもらっていいのよ」
ロン・チョン君は答えない。
彼には彼の、プライドがあるのだろう、と想像する。
しかしこのままでは、いつまでも同じトラブルをくり返すばかりである。
そして4時間目の授業の最後、先生方が、ある決断をする。
それは、宿題を集めたり返したり、とか、カセットデッキを持ってきたり、といったパンジャンニムの仕事を、チュイ・エンピン君が代行する、ということである。
つまり、実質上の班長交代である。ロン・チョン君は、事実上の更迭である。
チュイ・エンピン君は、3級のときも班長を務めた経験があり、性格もまじめである。私自身も、(チュイ・エンピン君が班長になればいいのに…)と、思っていたところであった。穏当な人事だといえるだろう。
チュイ・エンピン君は、年上のロン・チョン君のことを気にしてか、やや渋い顔をしたが、結局、引き受けることになった。
先生がロン・チョン君に向かって言う。
「パンジャンニム!あなたに部下ができたわよ、部下が」
ロン・チョン君のプライドを傷つけないための配慮の言葉だろう。
今流行の言葉でいえば、「政権交代」というべきか。「権力の二重構造」というべきか。
たった16人しかいない社会の、取るに足らない話である。
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