酔っぱらい映画鑑賞
9月16日(水)
ここ最近、なんとなくモヤモヤという感じがする。
なんとなく追い詰められている、というか、息苦しい、というか。何なんだろう。この感覚は。
韓国語でいえば、「답답하다(タプタプハダ)」という言葉がふさわしい。
こういうときは、音楽を聴いたり、映画を見たりするに限る。
日本にいるときは、渥美清や、西田敏行が出ている映画やドラマを見ると、この「タプタプハダ」な感じが、少しは解消されるのであるが、ここ韓国では見ることができない。
そこで思いついたのが、ソン・ガンホ。
「ミリャン」「優雅な世界」を見てからというもの、私の中で、ソン・ガンホは、渥美清とか、西田敏行の位置にいる役者になっていた。
折しも、妻からソン・ガンホが出演している映画「殺人の追憶」を見てみるといい、とすすめられたので、深夜、飲み慣れないウィスキーなんぞ飲みながら、見ることにする。
「殺人の追憶」は、1980年代後半に、韓国のある農村で実際に起こった、未解決の女性連続殺人事件を題材にした映画である。
だが、事件の概要を忠実になぞった映画ではない。
韓国映画の中には、実際の未解決事件を題材にした映画がいくつか作られている。ソル・ギョング主演の「クノム モクソリ(あいつの声)」、そして、先日映画館で見た「イテウォン殺人事件」などがそれである。
その意味で、韓国映画には「未解決事件」というジャンルが存在する、といえるかも知れない。
だが「殺人の追憶」は、この2つの映画とは格段に違う。
「クノム モクソリ」は、事件の経過を忠実に追い、どちらかといえば被害者の家族の悲しみと苦悩が主題となっている。また、「イテウォン殺人事件」は、やや消化不良な映画だった。
それに対して、この「殺人の追憶」は、凄惨な殺人事件に対して「襟を正した」映画、というわけでは決してない。事件を扱う地元の刑事の滑稽さや、ふがいなさや、やりきれなさ、などが、すべて詰め込まれている。
80年代後半という時代背景も、メッセージとして込められている。
実際の事件を題材にしつつも、「映画的表現」に満ちた映画なのである。その表現力には圧倒される。
そして、衝撃のラスト。
映画に必要なのは、「主張」などでは決してなく、表現そのものなのだ、ということを思い知らされる。
…なんてエラそうなことをいっているが、本当は映画のことなんて何もわかっていなのだ。ウィスキーなんぞ飲みすぎたせいだろう。
さて、明日もまた、頑張ろう。
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