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パンジャンニムからのメッセージ

10月8日(木)

学会2日目、午前。

壇上では、難解な討論が続いている。こちらも注意深く聞き取ろうとするが、内容が難解すぎて、ほとんどわからない。

11時50分ごろであろうか、携帯電話にメールが来た。

「キョスニム、ポゴシッポヨ~(会いたいです~)」

誰だ?見知らぬ電話番号である。

あとに続くメッセージを見た。

「…ロンチョンでした」

わが班のパンジャンニム(班長殿)こと、ロンチョン君である。

11時50分、ということは、3時間目が終わった休み時間だな。

心の中で、2つのツッコミを入れる。

「そんなに会いたいんなら、おまえが毎日学校に来いよ!」

…最近、ロンチョン君は欠席が続いていた。

「それから、『ポゴシッポヨ』の綴りを間違えるなよ!」

…1級の時のパダスギ(書き取り試験)に出てきた初歩の表現である。

しかし、なんで教えたはずのない私の電話番号を知っていたのだろう。

午後、学会が終わり、大学に戻る。

夕方、大学の構内を歩いていると、「キョスニム!」と、私を呼ぶ声がする。

見ると、私の横を通り過ぎようとした車の運転席から、文法の先生が顔を出していた。語学堂の仕事が終わり、これから家に帰るところらしい。

「あら、学会から帰っていらしたんですね」

「ええ」

「今日、キョスニムが授業に出なかったので、みんな寂しがってましたよ。授業の雰囲気も、なんか変な感じでした」

年上に気を遣ったお世辞だろう。

「そういえば、ロンチョン君から、…」

「メッセージ、行きましたか?」

「ええ」

「そうでしたか。…じゃあ、明日授業でお会いしましょう」

「ええ、明日、お目にかかります」

車が走り去った。

なるほど、パンジャンニムとしての務めを果たしたんだな、ロンチョン君は。

綴りを間違えていたことは、黙っておこう。

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