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3分マラギの化学反応

10月28日(水)

後半のマラギの授業。

今日の3分マラギの担当は、リュ・チウィエさんである。

お題は、「自分の国の昔話を紹介する」というもの。

リュ・チウィエさんが選んだ話は、「漁師と金魚」というものだった。

海に住む金魚がなんでも願いを叶えてくれることを知った貪欲な漁師夫婦が、調子に乗ってどんどん金魚にお願いしていった結果、最終的にすべてを失う、という話。昔話にありがちな、教訓的なお話である。

登場人物は、漁師とその妻、そして金魚である。

リュ・チウィエさんが前に立って、その話の筋を説明しはじめる。すると突然、リュ・リンチンさんがセリフを言いはじめた。

「ちょっとあんた、海の金魚のところに行って、別荘が欲しい、てお願いしてきなさいよ」

どうやら漁師の妻のセリフらしい。

すると今度は、チュイ・エンピン君がセリフを言う。

「金魚や!別荘を与えてください」

するとウ・チエンさんが、

「家に戻ってみなさい。立派な別荘が建っていることでしょう」

と、金魚の役を演じる。

つまり、3人が、登場人物をそれぞれ演じているのだ。

本来、1人で話すはずの3分マラギを、演劇的に見せる、という試み。

テーマが「昔話」だからこその発想だろう。

終わったあと、先生が、「いままでにない、新しい試みですね」とおっしゃる。

決して洗練されてはいなかったが、たしかに新しい試みであった。

リュ・チウィエさんが答える。

「昨日のキョスニムの3分マラギを聞いて、プレッシャーを感じました。だから、こういう方法を考えました」

どうも私が原因のようだ。

ひとしきり各国の昔話の話題で盛り上がり、あっという間に3時間目が終わった。

休み時間になって、リュ・チウィエさんに聞いてみた。

「この方法、いつ思いついたの?」

「昨日、キョスニムの3分マラギを聞いてからです。ただ話をしてもつまらないので、どうやったら面白くなるか、一生懸命考えました。それで、この方法を思いつきました。昨日はそれで、深夜2時まで準備していたんです」

どうやったら面白くなるだろうか、というのを考えた、というのがすばらしい。

もうそれだけで十分ではないか?

教えることを仕事としている身としては、学生が自分の頭で考えて、工夫しようとしたこと、そのことだけで、もう十分である。

以前、「授業はちょっとしたことがきっかけで、化学反応を起こす」と書いた。

これも、その「化学反応」の一例である。

ほかの人には些細な問題かも知れないが、私にとっては、何よりも待ち望んでいる瞬間である。

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