チュソク前日
10月2日(金)
チュソク(秋夕)前日。
午後、研究室に行く。今日は大学が休日で、建物が閉まっているので、いつもの警備員のおじさん(というより、おじいさん)に言って、建物の玄関を開けてもらって入る。
大学構内は、ふだんの休日以上にがらんとしている。やはり、チュソクで、故郷に帰ったりしている人たちが多いのだろう。
夕方、研究室のある建物を出ようとすると、警備員のおじいさんが、話しかけてきた。
「明日は来るのかい?」
「いえ、明日は来ません。…明日もいらっしゃるのですか?」
「ああ、仕事だからね。仕方がない」
警備員のおじいさんは、チュソク当日の明日も、1日中、誰も来ないこの建物の中で、ひとりで過ごすのだ。家族と一緒に過ごすことなく…。
なんか、少し切なくなった。
夕方、市内に出て、昨日に続いて、映画を見ることにする。
今日の映画は、「花火のように、蝶のように」。朝鮮時代末期の、閔妃(明成皇后)と護衛武士との愛を描いた映画である。閔妃をスエ、護衛武士をチョ・スンウが演じている。
スエは、ドラマ「海神(ヘシン)」で、ヒロインを演じたことで有名である。とりたてて美人、というわけではないが、気品の高い女性を演じさせれば右に出るものはいない。私も海神以来のファンである。
さて、映画の内容だが、…史劇、というより、ファンタジーとか、メロドラマ、といったところか。映像も、決闘シーンなどは、CGを多用して、まさに劇画タッチである。
そして、ツッコミどころも満載であった。とくに、日本人が出てくるシーン。
相変わらず、韓国人の役者がかたことの日本語で、日本人を演じている。その格好も、坂本龍馬風のいでたちの人や、忍者、任侠など、きわめて類型的、というか、それを通り越して、滑稽である。
どうしていつも、本物の日本人を起用しないのだろう。私でよければ、ノーギャラで出演してもよいのに、とつねひごろ思っていたのだが、これはこれでよいのだ、と思うようになってきた。
それは、この種の映画に登場する日本人は、あくまでも「悪役の記号」なのであり、必ずしもリアルな日本人である必要はないからである。
そしてこの、ツッコミどころ満載の映画の中にも、韓国の人たちの、歴史に対する、ある屈折した思いを読み取ることができる。閔妃殺害事件という題材だからこそ、その屈折した思いは、よりハッキリとあらわれるのだろう。
ま、難しい考証は、別の機会に。それにしても、スエは、凛として気品のある女性を演じさせるとやはり上手いね。
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