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最悪の文章

10月22日(木)

最近、やたらと感傷的な日記が続いている、ような気がする。

精神的にかなりまいっているからかも知れない。

こういうときは「自画自賛」するにかぎる。

私と同世代の、ある深夜ラジオDJが、以前、こんなことを言っていた。

「俺がラジオをしているのは、『こんなバカでも生きていけるんだから、俺もがんばろう』と思う人が1人でもいれば、と思って」

本当は、こんなかっこいい言い方はしていない。照れ隠しに、もっとオモシロを交えて言っていた。

でも、そんな生き方は、理想的だ、と思う。

数日前だったか。

語学学校のわがクラスの中国人留学生たちの間では、「睡眠障害」がしばしば問題になっている、ということが、授業の中で話題になった。

夜、まったく眠れないので、授業に出られなかったり、授業に出たりしても、ずっと寝ていたりする学生が多い。

私はそれを、単にサボっているのか、と思っていたが、そうではなく、かなり深刻な睡眠障害のようである。パンジャンニムのロンチョン君も、バスケットボールが得意なシャオシャオ君も、どうやらそのせいで、授業になかなか出られないようなのである。

「睡眠障害といえば、ボクがいちばん深刻なんじゃないでしょうか」とリ・チャン君。

リ・チャン君も、夜、まったく眠れないという。彼が授業中、ずっと寝ているのは、そういう理由からなのであった。

みんなで解決策を考える。「寝る前に温かい牛乳を飲む」とか、「お風呂に入る」とか、「適度にお酒を飲む」とか。

ひととおり解決策が出そろったあと、隣に座っている私が、リ・チャン君に話しかけた。

「散歩したらどうだろう。私は、夜、寝る少し前に、1時間くらい散歩するんだ」

「夜に散歩ですか?ちょっと恐いですね」とリ・チャン君。

「住んでるところは大学の近くだろう?だったら大学の構内を散歩すれば別に恐くなんかないよ」

実際、私も、大学の構内を、夜中に散歩しているのである。

で、1時間くらい散歩することがいかによいか、を、授業中にみんなの前で話したこともあった。

さて、昨日のことである。

朝、いつものようにリ・チャン君が教室にやってくる。

やってくるなり、わたしに言った。

「昨日、夜、外へ出て散歩したんです。それから、美味しいものを食べました」

「で、どうだった?」

「夜中の2時に寝ることができました」

彼にとっては大きな進歩ではないか。

ちっぽけなことだが、私をまねてくれる、というのは、やはり嬉しいものである。

ところが今日、リ・チャン君に、

「昨日はよく眠れた?」

と聞くと、

「いえ、全然ダメでした。また逆戻りです」と。

まだまだ道のりは長いようだ。

こんなこともあった。これも数日前のこと。

「韓国語を上達するためによい方法を知っていたら、チングに教えてあげてください」とマラギの先生。

「韓国語で日記を書くとよいです。私も書いてます」と私。

「なるほど、それはよい方法ですね」と先生はおっしゃった。

それから数日後、カエヌナが、韓国語で日記をつけはじめた、という話を聞いた。韓国語で書いた日記を、韓国人のナンピョン(夫)に添削してもらっているという。

さらに、これも数日前のこと。

「モノをよくなくす先生」から、野外授業のときの写真がメールで送られてきた。

そのついでに、次のようなことが書いてあった。

요즘 저는 공부도 재미없고 숙제 때문에 힘들기만 했느데

두 분을 보면서 목표가 생겼습니다.

공부를 더 열심히 해야 할 이유가 생겼습니다.

그래서 두 분께 아주 감사한 마음을 가지고 있습니다.

ここでいう「두 분」とは、私と妻のこと。

年上の人間に対する礼儀上の言葉が多分に含まれているのだろうが、こちらの都合のよいように解釈すると、「あんなアジョッシでもあきらめずにやっているんだから、私もがんばろう」ということなのではないか。

自分が愚直にやっていることが、ほんの少しでも他人の心を動かすことができれば、これほど嬉しいことはない。教員などという稼業をしていると、なおさらそんなことに敏感である。

実際のところは、それで私の方が励まされているのだが。

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