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ペペロデー

11月11日(水)

11月11日は、「ペペロデー」だという。

「ペペロ」とは、日本のポッキーにあたるお菓子の商品名で、1111と、1が4つ続く姿が、ポッキーを連想させることから、そう名付けられたようである。この日、韓国では「ペペロ」をプレゼントしあうことになっているのだという。

ま、さしずめお菓子会社の戦略だろう。

そのせい、というわけでもないが、今日はなぜか、わが班のみんなの機嫌がよい。

文法の先生の声は、いつになく弾んでいる。もちろん、いつもテンションは高いのであるが、今日はことさら、先生の話が横道にそれる。話したいことが次々と沸いてくるようである。

久しぶりに学生に戻ってみて感じるのは、授業を受けてみると、先生の機嫌のよさや悪さが、すぐにわかる、ということである。

たとえば、後半のマラギの先生は、火曜日になると、なんとなく落ち着かない様子である。

理由は、午後1時に語学の授業を終えたあと、すぐに大学院の授業を受けなければならないためである。大学院生でもある先生は、とくにその日に自分の発表があたっている場合は、明らかにテンパっている様子がわかるのである。

昨日の火曜日は、まさにそんな感じであった。

今日は、昨日のヤマ場を乗り越えたからなのか、機嫌がよい。

「ペペロ」ではないが、別のお菓子をみんなに配っていた。

学生たちも、みんなどことなく機嫌がよいようである。

今日の3分マラギは、シニカルなリ・チャン君が担当である。お題は、「世代差について」。

リ・チャン君は、1990年生まれの19歳で、わが班の中で一番若い。

だが、やはり頭のいい子だな、と思う。中国における世代差の問題を、的確にまとめていた。

ひとりひとりが感想を述べ合う段になって、私が言った。

「格調高い表現をしていて、感動しました」

本心の感想である。言葉の選び方に、センスを感じたのであった。

わが班で最年長の私と、最年少のリ・チャン君の年齢差は実に21歳。彼はまさに私の半分の年齢である。

「リ・チャン君は、미카미씨との間に、世代差を感じますか?」と先生が質問する。

リ・チャン君は、

「미카미씨は考え方が若いので、世代差はとくに感じません」

と答える。優等生的な答えである。

今まで、「老けている」と言われたことはあっても、「若い」と言われたことなんてなかった。おそらく、はじめてかも知れない。

3時間目の授業が終わり、2階にある自販機のコーヒーを買って飲む。本日2杯目のコーヒーである。

飲み終わって、階段を上って3階の教室に戻ろうとすると、階段の踊り場のところで、リ・チャン君とすれ違う。

「あ、コピサジュルケヨ(コーヒー買ってきてあげますよ)」とり・チャン君が私に言った。

いま飲んだばかりだと言おうとすると、

「いいから教室に戻っていてください」と言う。

教室で待っていると、リ・チャン君が私の分のコーヒーを持って戻ってきた。

「ありがとう」と言って、本日3杯目のコーヒーを飲み干した。

私にとっては、今日は「コーヒーデー」である。

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