« 「韓国語が下手ですね」 | トップページ | 書くことと見つけたり »

変わりゆく彼ら

11月9日(月)

素直でまじめなチュイ・エンピン君が、希望していた大学の造景学科に合格した。

造景学科とは、いわゆる造園学科のことらしく、造園の仕事をすることが、彼の昔からの夢だったらしい。

そのチュイ・エンピン君が、休み時間に缶コーヒーを大量に買ってきて、教室に持ってきた。

全部は持ちきれず、ヨジャ・チングのチゥイエン・チエさんと手分けして持ってきた。

文法の先生が、「それ、どうしたの?」と聞くと、彼は、

「大学に合格したので、みんなにおごろうと思って」

と答えた。

日本の感覚では、大学に受かった人は、お祝いをされる方なのだが、こちらではどうもそうではない。めでたいことがあった人が、ほかの人におごる、という習慣があるようである。

中国でもそうなのかどうかわからないが、彼はその習慣を忠実に実行したのである。

あたたかい缶コーヒーをいただく。肌寒い日だったので、しばらく手に持って手をあたためた。

缶コーヒーで手をあたためながら、韓国に来たばかりの頃の彼ら(中国人留学生たち)のことを思い出す。

1級の頃の彼らは、とんでもない連中だ、と思った。教室に入っても挨拶をするわけでもなく、礼儀も何もあったものではなかった。

彼らには、そもそも挨拶する習慣がないのだ、と誰かに聞いたことがある。本当かどうかはわからない。

でも、今はどうだろう。私に会えば必ず「アンニョンハセヨ」と挨拶してくれる。

彼らには、間違いなく「アンニョンハセヨ」と挨拶する習慣が身についたのだ。

韓国独特の礼儀の文化にも、慣れてきたということだろう。

それと、もう一つ、嬉しいこと。

それは、パンジャンニム(班長殿)のロンチョン君が、おそらく私の影響からか、韓国語で日記をつけはじめたことである。

彼のことだから、いつまた飽きてしまうかはわからないが、少しでも続けて欲しい、と思う。

欲を言えば、少しでも多くの留学生たちに、この習慣が広がれば、とも思う。

ひとつ前の日記で私は、韓国へ来てひどく落ち込んだ、というような書き方をした。

しかし私は、決して絶望したわけではない。

少しずつでも変わりゆく彼らを見ていると、絶望してなんかいられない。

やはり励まされているのは、私の方なのだ。

|

« 「韓国語が下手ですね」 | トップページ | 書くことと見つけたり »

4級3班」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「韓国語が下手ですね」 | トップページ | 書くことと見つけたり »